春の夜の薫る帳の裡寒く 待つや月の出君の訪い
照滴045
本文
春の夜の薫る帳の裡寒く 待つや月の出君の訪い
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#恋愛 #月 #夜 #春 #親愛 #香
キーワード
#春の夜 #月の出 #君の訪問 #寒さ #情愛
要点
春の夜に恋する人を待つ情景を描く。
現代語訳
春の夜、薫る帳の中はまだ寒く、月の出を待ちながら君の訪れを待っている。
注釈
薫る:香を焚き染めてある。または書物(読書人の家を「書香の家」という)
帳:張りめぐらした布
月の出:時の経過や待つ(対象の)象徴。希望や真理の象徴。
解説
春の夜の美しさと恋心の切なさを重ねる短歌。月や寒さを通して待つ心情を情感豊かに表現。
深掘り_嵯峨
満たされない愛と孤独を、美しい情景と内面の寂寥感の対比で描いた歌です。「薫る帳」という華やかな外の世界にいるにもかかわらず、心は「裡寒く」、孤独を感じています。
そこで待っているのが、「月の出」という普遍的な希望と、「君の訪ひ」という個人的な救済です。世俗の愛と精神的な真理の両方を「待ち望む」という姿勢は、完全な満たされなさと切実な希求を示しています。