我が紡ぐ言の葉輝き虚空(そら)に消ゆ めでたかりけり仏の御名(みな)は
滴塵041
本文
要点
現代語訳
私の紡ぐ言葉は輝きながらも虚空に消えてしまうが、それでも仏の御名は尊く輝いている。ありがたいなあ。 注釈
虚空(そら)に消ゆ: 物理的な響きは空間に消えてなくなる。実体がないこと。 解説
深掘り_嵯峨
作者が精魂込めて紡いだ「言の葉」は、輝きを放ちながらも、結局は「虚空に消えて」実体を残しません(無常)。しかし、そうした儚い言葉をもって唱える「仏の御名」だけは、「めでたかりけり」と、永遠の価値を持つと讃えられています。 自己の創作物の無常を認めつつ、それを仏の御名という真理に捧げることで、永遠の価値を獲得しようとする、信仰の境地を歌った一首です。