愛されず愛さぬ道のあじけなさ 恨まれ恨む人ぞ羨まし
照滴018
本文
愛されず愛さぬ道のあじけなさ 恨まれ恨む人ぞ羨まし
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#恋愛 #友情
キーワード
#愛 #恨み #孤独 #羨望 #人間心理
要点
愛のない関係の虚しさと、感情を持つ他者への羨望を描写。
現代語訳
愛されず愛さない生き方は味気ない。恨み合う人々がかえって羨ましい。
注釈
あじけなさ:つまらなさ、味気なさ、むなしさ。感情的な空虚や徒労感を表す。
恨まれ恨む人ぞ羨まし:苦しみや葛藤があっても、激しい感情の交流(愛憎)を持つ人を羨ましいと思う。
解説
愛や情の不在がもたらす虚無感を描き、人間心理の複雑さを反映した短歌。他者の感情表現の自由さを羨む視点が独特の味わいを生む。
深掘り_嵯峨ほか
煩悩(愛憎)を断ち切った平静な境地が、かえって虚しいと感じられるという、深い人間的な葛藤を詠んだ歌です。仏教では愛執は苦しみの根源とされますが、この歌は、その苦しみこそが生きた証であり、人間的な熱量であると捉えています。
完全な平静(悟り)に至る前に、人間らしい情念への羨望と諦念が入り混じった、逆説的な情熱の歌です。