思い出をなぞりてみれば胸痛し 永遠(とわ)に美し失いし恋
照滴006
本文
思い出をなぞりてみれば胸痛し 永遠(とわ)に美し失いし恋
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#恋愛 #無常
キーワード
#思い出 #胸痛 #失恋 #永遠 #美しき恋
要点
過去の恋の記憶をたどることで胸が痛む、失われた美しい愛の感覚を表す。
現代語訳
思い出をたどると胸が痛む。失った恋は、永遠に美しいものだ。
注釈
永遠に美し失いし恋:時間の経過と共に失われた恋は美しく感じる。 失われた恋は、無常によって永遠に手に入らないが、それゆえに記憶の中で永遠の美しさを保っている
胸痛し:感情的な痛みを表す古典的表現。
解説
恋愛の無常と切なさを描き、過去の幸福を失った心情の深さを表現。読者に喪失感と感傷的情緒を伝える短歌。
深掘り_嵯峨
失われたものへの執着と無常の美学を詠んだ歌です。恋が「永遠に美しい」のは、それが「失われた」という無常の試練を経ているからです。手元にあるものは変化し、やがて朽ちますが、失われたものは「思い出」という時間の枠外に固定され、美しさを保ち続けます。
この歌の「胸痛し」という生の感情は、永遠の美しさという哲学的な諦念とセットになっており、人間的な情念と無常観が混在する、切なくも深い一首です。