寄る辺なく漂ふ我れを砕かむと 探す巌ぞ宛てなくかなし
照滴075
本文
寄る辺なく漂ふ我れを砕かむと 探す巌ぞ宛てなくかなし。 形式
カテゴリ
ラベル
キーワード
要点
現代語訳
寄る辺なく漂う〔私は無くなってしまいたいので、〕私を砕いてしまう岩を探すが、それさえなく、さまようのみで悲しい。 注釈
解説
深掘り_嵯峨
自己の存在の危うさと受容の難しさを詠んだ歌です。「寄る辺なく漂ふ我れ」という自己の不安定な存在を、「砕かむと」(壊したい、あるいは定着させたい)と願っているが、そのための「巌(いわお)」(真理、定着の場所)は「宛てなく」(見当たらず)悲しいという、自己の存在への不安と、確固たる足場を求め続ける放浪の精神を描写しています。