君待ちて無常の闇に身を浸し 降るや虫の音叢雲の月
滴塵033
本文
要点
現代語訳
君を待ちながら、無常の闇に身を浸す。降るように虫の音が響き、雲間の月が見える。 注釈
虫の音(ね):秋の夜の情景。寂しさや孤独感を深める要素。 解説
深掘り_嵯峨
滴塵016に続く、「君待ち」の孤独を、仏教的な無常観と結びつけた歌です。 待ち続ける時間は、単なる孤独な時間ではなく、すべてが移り変わる「無常の闇」の中に身を置くことです。その中で聞こえる「虫の音」や、雲に覆われた「叢雲の月」は、寂しさとはかなさを増幅させます。