わがまなこの 涙は鹹(から)き 何ゆえに 海を宿して 天(そら)へと還る
照滴012
本文
わがまなこの 涙は鹹(から)き 何ゆえに 海を宿して 天(そら)へと還る 形式
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要点
現代語訳
私の目の涙は塩辛い。なぜだろう、海の水を宿しているからか。そして再び天へと還るのか。 注釈
解説
深掘り_嵯峨
照滴011をより科学的かつ詩的に深めた歌です。なぜ人間の涙は塩辛いのか、という問いから、涙の起源を「海」(生命の源)に見出します。そして、その涙が最終的に蒸発して「空へと還る」という大きな自然の循環の中に、人間の生命と感情を位置づけています。 涙の「鹹さ」という肉体的な現実が、海と空という宇宙的なスケールを結びつける媒介となっており、個人の悲しみや感情が自然の摂理と一体であるという、深い一体感と諦観を表現しています。