わがまなこの 涙は鹹(から)き 何ゆえに 海を宿して 天(そら)へと還る
照滴012
本文
わがまなこの 涙は鹹(から)き 何ゆえに 海を宿して 天(そら)へと還る
形式
#短歌
カテゴリ
#5.自然・風景
ラベル
#涙 #海 #雨 #自然現象
キーワード
#涙 #塩 #天 #循環 #感情
要点
涙が塩辛く、自然と宇宙の流れに還る様子を描写。
現代語訳
私の目の涙は塩辛い。なぜだろう、海の水を宿しているからか。そして再び天へと還るのか。
注釈
鹹(から)き:塩辛い。海の塩分を連想させる。
海を宿して:涙の塩分を象徴的に海に結びつける
天へと還る:水循環を自然観として表現
解説
人間の涙を自然現象と重ね、感情の普遍性と自然の循環を同時に表現。人間と自然が一体である視点を描いた短歌。
深掘り_嵯峨
照滴011をより科学的かつ詩的に深めた歌です。なぜ人間の涙は塩辛いのか、という問いから、涙の起源を「海」(生命の源)に見出します。そして、その涙が最終的に蒸発して「空へと還る」という大きな自然の循環の中に、人間の生命と感情を位置づけています。
涙の「鹹さ」という肉体的な現実が、海と空という宇宙的なスケールを結びつける媒介となっており、個人の悲しみや感情が自然の摂理と一体であるという、深い一体感と諦観を表現しています。