うたかたの いのちはあつく 燃ゆれども まなざし涼しく 見つめるほとけ
滴塵031
本文
うたかたの いのちはあつく 燃ゆれども まなざし涼しく 見つめるほとけ
形式 #短歌
カテゴリ #10.精神・悟り・心象
ラベル #仏 #菩薩 #精神 #悟り #いのち
キーワード #いのち #燃ゆれども #涼しきまなざし #ほとけ #観照
要点
激しい生命のあり方を仏の涼しいまなざしが見守る対比。
現代語訳
泡のように儚い生命は激しく燃えるが、涼やかな目でそれを見つめる仏。
注釈
うたかたのいのち:泡のように儚く、短い人間の命。
まなざし涼しく:仏の感情に囚われず、冷静で静かな眼差し。観照。慈悲。
ほとけ:仏、悟りを開いた存在。真理。
解説
生命の激しい営みと仏の静謐な観照の対比で、悟りの境地を描く。命の盛衰を感情的に追体験しつつも、涼やかな仏の眼差しが心の平静を保つことを示す。
深掘り_嵯峨
これは、熱い人間性と冷めた真理の対比を通して、悟りの境地を鮮やかに描いた歌です。
私たち人間の命は、儚い(うたかた)ものでありながら、熱く感情的に燃え盛っています。しかし、仏はそれを「まなざし涼しく」、感情移入することなく静かに見つめています。
仏の「涼しいまなざし」は、人間の苦悩や情熱が無常であり、執着するに値しないことを知っている智慧の象徴です。熱さと涼しさという対極の感覚を並置することで、煩悩に満ちた現実と悟りの境地の隔たりを表現しています。