ニクラス・ルーマン
ニクラス・ルーマン (ドイツ語: Niklas Luhmann、1927年12月8日 - 1998年11月6日)は、ドイツの社会学者。1960年代にドイツの哲学者ユルゲン・ハーバーマス(フランクフルト学派)との論争で日本でも知られるようになった。 1984年に主著『社会システム理論』(Soziale Systeme=社会の諸システム)を発表
社会システム理論にオートポイエーシス概念を導入
社会システム理論
タルコット・パーソンズの社会システム理論とルーマンの社会システム理論は、両者の間でその「システム」の概念は根本から異なっている。
パーソンズの社会システムは、大は世界システムから小は個人に至るまでの入れ子構造から成り立っているのに対して、ルーマンは多次元的・相互補完的・相互浸透的なシステムを考えており、システム間に階層性がない。
パーソンズはマックス・ウェーバーの系譜を引く方法論的個人主義を理論構成の根幹に据えているが、ルーマンは後期に至って「個人」を出発点に据える理論構成を明確に拒否している。
ルーマンとハーバーマスの論争
ルーマンの場合、意味に先行する合意事項等が必要とされない。これは条件プログラム的な考え方。 ルーマンは機能主義的観察を徹底しており、ものごとの背後に本質だとか真理だとかを据え付けない。そもそも〈真理〉という概念自体もまた機能的に観察される。真理は絶対的なものではなく、コミュニケーションメディアのひとつとして機能的作動に寄与している。それ以上遡行できない原理、ではなく、暫定的な準拠点(固有値 Eingenwert)という考え方。なおルーマンが言う「機能」とは、別様である可能性の地平からの比較・選択を意味する。
重要なのは作動のみ。事実として社会が作動しさえすれば、その背後に秩序や合意がなくてもいい。あるいは、仮のものでもいい。