ルーマンの方法をデジタルツールで運用するときの考え方の整理
保存する場所について(情報を保存する場所の構造)
ルーマンはメインのツェッテルカステンと書誌情報を分けていた
さらに言えば、一期と二期という基幹的な区切りもあった
デジタルツールで「分ける」とは何を意味するか
Obsidianでは、vaultそのものを分けるか、vaultの中のフォルダを分けるかという選択がある
Cosenseでは、プロジェクトを分けるかどうか、という話になる
なぜそれらを分けるのか?
書誌情報は、書誌情報の並びで保存しておくと便利だから
一期では、160枚のメモに参考文献リストが書かれていた
ZK Iには、合計約2000タイトルの文献がアルファベット順にリスト化された、明らかに後から作成された2つの参考文献リストがあります。ルマンは、これらのリストを約160枚のメモに書き込んでいます。これらのリストには、一部のタイトルに重複があるものの、ZK IIの抽出物17に含まれています。
ルーマンは研究をしていて、研究をする上で「読むべき本」はリストアップされているのだし、趣味の本などはそこには入らないのならば、「これから読む文献リスト」がそのまま書誌情報のリストとして活用できる
二期では個別のメモに書き込むようになっていた。
ZK IIでは、ルーマンは恐らく作業効率化のため、それぞれの文献情報を別のメモに書き込むようになったと考えられます。ここには、約11,000枚のメモがあり、ZK IIの抽出物15から17、そして物理的な箱の外にある3つの抽出物に収められています。
この記述からわかるのは、書誌情報は主要なテーマの流れの中に位置していたのではなく、それとは別の場所にある程度まとめて並べ置かれていた、ということ。
議論の流れでまとめられたカード群と、その流れとは別の塊の書誌情報群という形で整理していたということだろう
ライフログ的な購入履歴ではないので、著者別のような並びだったのではないかと想像する
これらは固有のIDを与える必要はない(与えてもいい)
暫定的ではあるが、Obsidianでもbook/というようなフォルダを作ってもいいかもしれない。ただしそれは作成日順かアルファベット順の並びになる。著者名のアルファベット順にしたければ、タイトルに著者名を入れておくのがよいだろう。並びを気にしないならば、別に構わない。
研究的な試みの場合、特定の著者がどんなことをどんな順番で発表しているのか、ということそれ自体が情報的価値を持つと想像される。
rashita.iconのように乱雑に本を読んでいる人間はあまり必要としていない情報なのだが、もしかしたらそうした並びから見えてくるものもあるのかもしれない。
Cosenseではわざわざ別プロジェクトに書誌情報だけ置いておく意味はあまりないので気にせずに同一プロジェクトに入れたらいいだろう。
infoboxなどでリスト化できるようにしておくとよいかもしれない。
著者名でリンク、あるいは著者名の著作でリンクをするという方法が考えられる(研究的なアプローチなら)。
別のツール、別の場所であっても、ものすごく困るというわけではない。メインのカードが同一の場所にあって、IDが割り当てられていればいい
日常的に論文や著作を読み、考えたことのメモを残す(日常的な情報摂取の営み)
論文や著作の書誌ページを作り、その中のメモとして、まず考えたことを書く
同様に日常的な思いつきを書き留めるためのページもつくる
インボックスのような単一の場所でもいいし、デイリーページやウィークリーページ・マンスリーページなど時限式のページでもいい
そうして書いたメモを読み返し、カードを作る
カードとは何か?
ルーマンはここを定義はしていない
自分が論文を描くために必要な考えというのは推測できる
ここで分岐が生まれる
そもそも論文を書かない人はどうするのか?
そうでない人間は仕えないのか?
論文を書く人間は、ここで戸惑うことはないだろう。トピックセンテンスを意識して文章を書けばいい。それは梅棹の豆論文でも同じ。
ルーマンの方式に従うなら、自分の大きな議論に接続させるようにカードを書くことになる。
ObsidianでもCosenseでも、カードは時系列やアルファベット順に「並ぶ」ので、ルーマンのやり方をそのまま真似するならば、タイトルにナンバリングを行いアルファベット順にしておく必要があるだろう。
しかし使い勝手はよくないように思われる。
むしろ、どこまでも分岐している枝番号は、アウトライナーが向いている気がする(畳んでおけばもともとの議論の流れを見失わなくて済む)
そう考えるとこれらのデジタルツールでは、個別にファイルを作り、そのリンクをどこかのノートに置く、という作業までをワンセットにしておくとよいだろう。
梅棹はそこまでは言及していない。とりあえず、独立して読める一つの主張をとにかく書いておく、ということだろう。それをカード箱などに並べておき、カードをくって、そのカードについて再び考えるようにする。そういう運用。
リンクについて(カード作成後の作業)
個々のカードにIDを与え、それをつかってリンクする
一つのカードに、内容的に関係ある別のカードを入れる
前後のカード、補足のカードなどのリンクもありえる
バックリンクは、たいていのツールが実装しているので手動でやる必要は低い
トピックやサブトピックに応じた体系的な順序を決定しない
Cosenseは基本がそうなっているし、Obsidianでもテーマごとにフォルダを分けるというやり方をしないならば、あとはインデックスの作りかたの問題なので特に気にする必要はない
インデックスについて
複数のカードを俯瞰的にまとめるカードをつくる
主要な議題、キーワードにアクセスするための入り口となるようなカードを作る
それぞれは内部に他のカードへのリンクを持っている