ルーマンが実際にやっていたことのまとめ
ルーマンはカードとカード箱を使って何をしていたのかを整理したい
参考文献
『TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』
Niklas Luhmann-Archiv
Communicating with Slip Boxes
ルーマンがカードを使うことを通して成し遂げようとしていたこと
研究を進める上でのパートナー作り
外部に記憶を補助する装置を作る
セカンドブレインではなく、secondary memory あるいは alter ego を作る。
alter egoという表現は、コミュニケーション(対話)の相手というイメージが強くある
単に保存しておいたものを後から引き出すという行為ではない、という含意が「コミュニケーション」にはある
その装置を使うことで「驚き」がある。
差異を見つけること→情報を見出すこと
こうしたことをサポートしたい
最初にテーマを決め、それを固定し、その内側に情報を並べるようなやり方はとらなかった
変わりに、一つひとつのカードに連番・枝番を振り、多枝的な「アドレス」を割り当てた
アドレス(固有のID)があることで、他のカードからそのカードを「名指す」ことができるようになる
リンク可能性
アドレスの振り方はテーマ(内容)に沿ったものではないがゆえに、テーマに縛られない形での構造・体系を作ることができる
時間と共に変化が可能な、固定的な(規格的な)情報装置が実現できる
ルーマンの具体的な手法
ルーマンのカード箱には2つのシーズンがあり、前者が勉強期・後者が研究期と一応分離できる
後者はテーゼ的なカードの書き方が増えていたとあり、梅棹の豆論文との呼応がある
前者は、まだ知識を蓄えていくラーニング段階だと想定できる
ズンク・アーレンスはこの点を掘り下げることで、カード法の構築プロセスをより実際的なものにできたはず
ゼロステップ:論文・著作を読む
ファーストステップ:書誌情報を書き取り、そこに見出しぐらいの要約でメモを残していく
それらのメモは書誌情報の紙と一緒であっていい。むしろ書誌情報と紐付いていることが望ましい
書誌情報の紙は、書名でアルファベット順にまとめることもできるが、著者名でまとめることもでき、後者を選ぶならある著者の思考の流れのようなものがざっと追いかけられるメリットが生まれる
この書誌情報のメモやそれに付随する内容の要約メモは、下ごしらえや準備段階
セカンドステップ:自分が書いたメモを読み返し、自分がそれまでに作ってきたカードの体系を踏まえながら、新しいカードを書く。
カードには数値でアドレスを与える
サードステップ:カードにリンクを与えていく
新しく書かれたカードが、アドレスの並び以外のカードとも関係がある場合は、アドレスを使ってリンクをつくる
フォースステップ:インデックスをつくる
体系的な目次が存在しないので、個々のトピックにアクセスできるように自分でインデックスをつくる
自分の体系において、主要なトピックの入り口となるようなカードのアドレスをまとめる
ある議論に関するカードの一覧のようなインデックスをつくる
以上のステップを日常的に継続していく