UIST2019勉強会 Haptics関連まとめ
昨日16日目は本カレンダー主催者・MarieΔさんの「Pseudo-Haptics ~視覚で作る触覚~」でした.Pseudo-Hapticsというと「マウスポインタが遅いと重さを感じる」ような身近な例がよく挙がる印象ですが,形状・大きさや硬軟感など様々な触知覚に応用できることがよく分かる記事ですね.今後Pseudo-Hapticsが活用される場面が増えていきそうです. 明日18日目は,コバヤシマサトさんが2度めのご登場です.内容は「足に対する触覚提示研究紹介」とのことです.
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UISTの触覚に関係する発表の概要をサクッと掴むのに役立てていただければ幸いです.
UISTとは
https://www.youtube.com/watch?v=76HmJoNhyzw
正式名称をThe ACM Symposium on User Interface Software and Technology という,ユーザインタフェース(UI)に関する学会です.今年2019年は10月にニューオーリンズで開催されました. UIという大テーマの下に,ガチソフトウェア研究・ガチデバイス研究・ガチ素材研究など多様な発表が集まるのが特徴です.
もちろんハプティクスもUIにおいて大事なので多数の発表がありました.
あとTeaser動画がかっこいいので観てください.
UIST勉強会とは
UISTの論文を1本2分のLTで一気に履修できる神イベント.似たイベントにCHI勉強会というのもあります(CHI勉強会よりは小規模な会です). 筆者は今年初めてお邪魔しましたが,学生の方もたくさん発表しておられ活気のあるイベントでした.
一言ずつまとめ
勉強会の資料を丸写ししたりするのは苦労してまとめてくださった皆さんに失礼ですし,そもそも資料は部外者への配布厳禁なので,筆者が自分なりに理解した中身を一言だけ書いていきます.
分かりやすい勉強会資料を作ってくださった皆様ありがとうございます.
どこまでを「触覚関連」とするかの線引きは難しいですが,触覚がメインでない研究(e. g. 感覚提示の一環として振動を用いているだけ)は省きました.
触れるUIなので当然触覚との関わりもあるものの,触感そのものに焦点を当てた研究ではないためです.
キーワードは論文の著者らのキーワードを参考に,他の発表との共通性などを考慮して筆者がアレンジした物を載せました.
Hapticsがキーワードなのは自明なので,載せませんでした.
※ この研究も入れろ,研究内容を誤読してるなどのご指摘があれば,お手数ですが@kn1chtまでリプライ等でご連絡ください 磁性粒子を体毛に塗りつけ,磁石で引っ張ることで触感を提示
Keywords: 体毛インタフェース,非接触インタフェース
皮膚を模した柔軟なインタフェース
国内でもネットメディア等で取り上げられ少し話題になった
Keywords: 人工皮膚,変形可能インタフェース,センシング
HMDに装着し,顔に平行な平面上および顔に向かう方向の衝撃感を提示できる提示デバイス
Keywords: 力覚フィードバック,弾性力,撃力,バーチャルリアリティ
HMDに装着し,せん断方向に皮膚を伸縮させて力覚提示するデバイス
Keywords: 力覚フィードバック,皮膚伸縮,バーチャルリアリティ
流体シミュレーションの結果に従って重心を変化させ,液体入りのタンクを持つ感覚を再現するデバイス
Keywords: バーチャルリアリティ,流体力学
2つのジェットプロペラにより,2次元平面上での重心を錯覚させるデバイス
Keywords: 重量・運動の触錯覚,力覚フィードバック,バーチャルリアリティ
両手を引っ張り上げることで運動感を増強するデバイス
Keywords: 力覚フィードバック,エクササイズ,バーチャルリアリティ
曲がり・伸縮・ねじれの変形を,力センシングと振動提示で錯覚させる棒状デバイス
Keywords: 変形フィードバック,触錯覚,力覚インタフェース
剛体や弾性体を把持する際の感覚を,摩擦を利用した機構により低コスト・低電力で再現するデバイス
Keywords: バーチャルリアリティ,抵抗力,キャプスタン
荷重センサのデータから,上に乗った物体への3次元の接触や物体の状態,動作検出を行う分析手法
Keywords: タンジブルインタラクション,荷重センサ,動作認識
筋電を計測し,力を入れるとバーチャルハンドを動きやすくするPseudo-haptics提示手法
Keywords: バーチャルリアリティ,Pseudo-haptics,筋電式入力
任意の立体物に電気触覚インタフェースを貼り付けるデザイン手法および印刷システム
Keywords: 触覚提示,ラピッドプロトタイピング,ファブリケーション
低コストで手軽に作れ,拡張性にも優れた触力覚アームのアーキテクチャ提案
Keywords: 力覚フィードバック,ロボットアーム,スケーラブルなアーキテクチャ
特殊なポリマー素材と銀の多層構造により,センシングと触覚フィードバックを一体でできるデバイス
Keywords: ウェアラブル,ソフトアクチュエータ,ソフトセンサ
物体を把持する際に,現実の物体が小さいほどバーチャル物体のサイズを大きく拡大しても違和感が生じない
Keywords: バーチャルリアリティ,触錯覚
発表の傾向
UIに使える触覚ということでデバイスを提案する発表が多い一方,センシング手法や触覚提示にフォーカスした発表もそれなりに通っています.触覚というテーマの裾野の広さが感じられます.
本記事で付けたキーワードのうち,2回以上登場するものをランキングにしてみました(近いキーワードは統合しました).
table:キーワードランキング
バーチャルリアリティ 8
力覚フィードバック or インタフェース 6
触錯覚 3
センシング or 〇〇センサ 3
VRの人気はうなぎ登りなので,多数の発表でキーワードとなっていました. 次いで,力覚の提示や入力としての利用を扱った研究も目立ちました.
触錯覚に関する発表が3件あったのは,触錯覚を研究テーマとしている筆者としては嬉しい限りです.
触覚に関わるセンシングがメインの研究もいくつか発表されていました.