参加者を募っての実験の予約にMeetingbirdを使う
人を集めて行う実験では、まず協力者を募集し、次に日程調整を行う必要があります。
協力者一人ひとりの希望を聞き、足を運んでもらえる日程を定めるのは大変です。
そこで、高機能なスケジューリングツールであるMeetingbirdを使い、日程調整の大部分を自動化する方法を提案します。
追記
https://gyazo.com/12c8d36fdb4e0ae0d29891cd238932df
よく使われる日程調整ツール
※大人数での日程調整には「densuke」「調整さん」「Google スプレッドシート」などが便利ですが、ここでは実験参加者募集という1人の運営者と多数の参加者がそれぞれ個別にやり取りする状況なので選択肢から外しました。研究室内など、実験参加者が全員身内であれば、これらの日程調整ツールで十分かもしれません。
① メール
実験参加者が数名なら、メールで希望の日時を聞いて希望を調整してもいいかもしれません。
準備も特に不要で、最も融通が効きます。
ただ、参加者数×やり取りの回数だけメールを打たなければなりません。筆者はメールで同時に大人数とやり取りするのが苦手なので、精神的に負担が大きいです……。
参加者側にも同じことが言え、「メールで連絡」と募集に書かれていると面倒だと感じて応募しない人がいるかもしれません。
実験参加者の募集にGoogleフォームを使う人はとても多いです。実験が可能な日時を、ラジオボタンやプルダウンで選択してもらえばOKです。
希望を集めたあとの流れはいくつか考えられます。全員の希望を聞いた後、個別のやり取りで日時を決める場合もあるでしょうし、早いもの勝ちで入力と同時に日時が確定する場合もあるでしょう。
とはいえ、Googleフォーム自体は日程調整専用にできているわけではありません。特に後者の場合はダブルブッキングなどを防ぐため、何らかの自動化がほぼ必須です。
定員になったら自動で締め切る例
Google Apps Script (GAS)を使用し、予約をGoogleカレンダーに書き込む&先約があったらエラーにする 自動化させればいいとは言うものの、GASでの開発にはまずJavaScriptの知識が必要です。参考になるネット記事があるのでコードを書く必要まではないものの、動作にトラブルがあれば自力で解決できなければなりません。
もし自動化できる技術や時間がなければ、結局はメール等を併用して手動で連絡することになります……
③ 独自ツールを内製(or外注)する
実験回数が多くて開発力のある研究室なら、理想の実験予約システムを内製してしまうところもあります。
自分たちで作るので、欲しい機能や自動化など入れ放題です。
ただし、開発や運用管理が可能な開発者が当然必要です。学生が開発するのであればその分研究時間を割くことになりますし、不具合にも迅速に対応できるとは限りません。
Meetingbirdとは
海外製のスケジューリングサービスです。サービス名にMeetingとある通り、1対1のミーティングを設定するのが主な用途です。
カレンダーに予約可能な日時を入力し、予定の長さなどを指定してリンクを作成します。
参加者は、作成したリンクから都合のいい日時を選んで予約します。
予約が入ると双方にMeetingbirdからメールが入り、Googleカレンダーに予定が入ります。メールのリンクから予定のキャンセル・リスケジュールも可能です。
予定の前には、参加者へリマインダーメールが送られます。
また、Googleカレンダーとの連携が非常に優れており、以下のことができます。
自分のGoogleカレンダーの予定を表示させながら、空いている時間帯を入力
https://gyazo.com/836d85b39a40c2bd2d76acc80e44c1c4
選択したカレンダーに予定を自動入力し、予定があればダブルブッキングさせない(オンオフ可)
入力した時間帯全体を確保するイベントを自動作成(オンオフ可)
設定画面などの雰囲気は、以下の記事でご覧ください。
Meetingbirdを実験予約に使うと嬉しいポイント
日時の入力がカレンダー形式で楽
カレンダー上で空いている時間をドラッグで選べば終わります。
https://gyazo.com/b47a37b6193495c3793da22d47797a9e
日時の候補も自動で作ってくれる
予定の長さはもちろん、何分ごとに候補を作るかも一発で指定できます。
https://gyazo.com/0176f9de4fc286f6f71d9f9c56881e23
実験実施者・参加者双方のGoogleカレンダーに予定が自動で入る
これを自前で自動化するのは結構大変ではないでしょうか?
ダブルブッキング防止機能が安心
Meetingbirdができない・苦手なポイント
とはいえ、Meetingbirdは万能ではありません。
① フォーム機能は(ほぼ)ない
Questionsという設定で予約時に回答してもらうことはできます。名前とメールアドレスはデフォルトで聞かれます。
https://gyazo.com/49f551d77644b5cdbb86e1105859b33a
しかし、入力をバリデーションできないので、想定していない入力をされることを止められません。
例えば「年齢」では正の整数を入力することが期待されますが、実際には「わからん」「答えたくない」などでも予約できてしまいます。
色々入力させたいなら、まずGoogleフォームを記入させ、Meetingbirdに誘導するとよいでしょう。
② 募集していないときの表示がわかりにくい
予約できない時のメッセージは自由に変えられません。"Sorry, we couldn't find any availability for a ... meeting." と表示されます。
https://gyazo.com/3f242ad86fbf7b4d7161ff260a66c6a8
これでは何かのミスで予約できないのか、募集が締め切られたのか参加者側から分かりません。
Googleフォームには、フォームの回答受付を止めてメッセージを表示する機能があります。筆者は、まずGoogleフォームのリンクを示しておき、募集中はフォーム入力後にMeetingbirdに誘導・終了後は締め切った旨のメッセージを表示する運用にしています。
③ 同時に複数人がスケジューリングページを開くと、二重に予約されることがある
他の人の予約前にリンクを開いた場合、すでに予定がある時間に予約できてしまう現象がありました。
空いている時間の判定を、ページ読み込み時だけ行っていると思われます。
稀な事象ではありますが、ある程度大人数が同時にアクセスしてきそうな場合はカレンダーをこまめに確認しましょう。
④ 希望を複数入力してもらい、後から全員の希望に合うよう日程調整……という使い方はできない
先着順で予約が決まる使い方しかできません。
強いて言えば、ダブルブッキング防止をオフにして好きなだけ入力させ、後からキャンセル等で調整することならできます。ただ、非常に手間が増え、Meetingbirdを使う意味がないので他のツールのほうがいいと思います。
おすすめ設定
ログインしてマイページを開いたら、"New Scheduling Link"から新しいリンクを作成します。
https://gyazo.com/3c8058f558f5444bbae2e55f71dcb3d8
設定画面は英語かつ項目もいろいろですが、重要なのは2番目の"Availability and Calendar Settings"と3番目の"Event Settings"です。それ以外の項目は必要だと感じたら変更してください。
https://gyazo.com/07bacbf0a7daed1f165a787627891ca4
Availability and Calendar Settings
Available Times
予約可能な時間を設定します。Non-recurring(1日ごとに予定を入力)とRecurring(曜日ごとに)を選べますが、数週間で終わる実験ならNon-recurringにしましょう。
Calendar / Prevent Double Booking On
ここで選択したカレンダーに実験予定が登録されます。
個人のカレンダーでもいいですし、もし研究室で実験室の予定などを管理しているならそのカレンダーを指定するのもおすすめです。
https://gyazo.com/49677489cc864b2c447d31cfbfcbcead
Event Settings
Meeting Topic
そのまま予定の名称になります。わかりやすいタイトルをつけましょう。
回答者の名前や質問への回答など、変数を含めることもできます。
Duration
予定の長さです。
Location
実験の場所を書いておくといいでしょう。
Description
長い文章が書けます。筆者は実験の注意事項を書くのに使っています。
Questions
参加者への質問を設定できます。前述の通り、あまり複雑なことはできません。
Appearance
予約ページの色などを変えられます。お好みで。
Email Settings
参加者に送られるメールを設定します。リマインダーメールのタイミングは10分前から2日前まで選べるので、目的に合わせて変更してください。
Other Settings
Link Sharing
チームでリンクを共有できるらしい(使ったことない)
Meeting Buffer
予定と予定の間を指定した時間空けてくれます。実験ごとに準備時間が必要な場合に有効です。
Advance Notice
直前に予約されるのを防げます。