Generated Rectangles

はじめに

2023年にNeort++(東京馬喰町)にて開催された、北千住デザイン個展「Generated Rectangles」（生成された四角形展）。

ジェネラティブアートのメディウムと美学に関する展示で、大きくわけると、①②の２つの作品で構成された。

展示作品はすべてブラウザで動作するよう作られていて、以下に作品URLも記載している。

① 訪問者によって生成された四角形

参加型の作品。訪問者は専用ウェブサイトから色・大きさなどを選び、ひとつのキャンバスに対し四角形を生成・配置できる。NFTとして購入すると会場に反映される。サイトには購入ルール（コード）が記載され、NFT購入者を自律性を持ったシステムと捉えたGenアートと言える。

本作は、Genアートの基盤であるランダム関数やアルゴリズムを、コンピュータや作家でなく、他者に生成してもらうことで、Genアートの典型的な作り方を相対化し、新しい作り方を模索する目的があった。「乱数と恣意性」「機械と人」「NFTと非NFT」の対比などを意識した。

https://gyazo.com/3d4c36746954d06af4f520f3ed93b374

専用ウェブサイト: https://kitasenjudesign.com/genrects/00/

会場プロジェクション用画面：https://kitasenjudesign.com/genrects/viewer/

② 「①」を元に作家が生成した四角形

①で作られたデータを元に、作家がGenアートとして再構築する作品。会場で①が更新されると同時に４種のGenアートが自動的に更新される。Genアートの特徴として「変換」があり、データの可視化・写像が容易である。同じデータ（＝同じ構図）から４つの表現を並列させてみせることで、その構造と魅力を示した。①の人力ノイズ／人力ハッシュ値を使ったGenアートとも言える。

https://youtu.be/qu5BDsPpDfg?si=fy7eHSiO8mMqYNp3

01 https://kitasenjudesign.com/genrects/01/

ビデオフィードバックのような「新しいフレーム＋過去フレーム」で構成される効果。一般的な映像ソフトウェアでは作りづらく、Genアートのような環境だと簡単に作れる、自分が思うコンピュータっぽい映像。

02 https://kitasenjudesign.com/genrects/02/

Genアートは現実の筆跡などを模倣するべきかという議論があって、自分は模倣したとしてもメディア性が現れる部分が面白いと思い、デジタルとアナログが混在したようなものを目指した。

02 https://kitasenjudesign.com/genrects/03/

Genアートのらしさは「創発性」があり、その代表的アルゴリズムがセルオートマトンであり、ライフゲームのような２値２次元のCAの様々なルールを１画面に展開した。アルゴリズムは容易に流布されるため「あるある」をどう改造するか、というのも楽しみの一つ。

04 https://kitasenjudesign.com/genrects/04/

ビルのように立体になっていて、古いものほど高くなっている。四角形がもつ時間軸の情報や色の情報を別の要素に変換・可視化している。

※画面サイズ縦型9:16に最適化されている。

③ それ以外の四角形

本展以前に、同様な仕組みで作ってもらった四角形群を使って機械（CSS）に並べ替えさせたポスター、作家が並べ替えたポスターなども展示販売。

また①との対比のために、①で作られた四角形を「ランダムで並べる」「CSSのレイアウトによって並べる」のような展示を、スマホで行った。

一貫して、四角形のみで構成された展覧会を目指した。

https://gyazo.com/573d5b1277ecc03a4d8e130397bc8d27

スマホ展示1: Math.random()

スマホ展示2: float:left

スマホ展示3: margin: 0 auto

※展示の都合上、上下反転している。

おわりに

本展は「鑑賞者の入力データ」と「作家のアルゴリズム」によって作動する生成的展覧会であり、鑑賞者と作家で協力して作られた展覧会だった。また、鑑賞者が四角形の生成と購入をきっかけに会期中変容していく空間でもあった。加えて、会場内の全てのスクリーンが同期するタイミングを設けるなど、Genアートの最適な物理展示を模索した。

今後としては②の作品が会場展示しただけでNFT化できていないので、購入者に何かの形で還元したいと思っている。

code: genRectsExhibition.js

/* 本展をモデル化したコード */

function generatedRectanglesExibition(artist, visitor){

var exibhition = artist.getExhibition();

var nfts = exibition.makeNFT(visitor);

if(nfts){

var rects = nfts.getRectangles();

exibition.visualize(rects, projector);

exibition.makeGenArt(rects, 1 ,screenA);

exibition.makeGenArt(rects, 2 ,screenB);

exibition.makeGenArt(rects, 3 ,screenC);

exibition.makeGenArt(rects, 4 ,screenD);

exibition.visualize(rects, 1 ,smartphoneA);

exibition.visualize(rects, 2, smartphoneB);

exibition.visualize(rects, 3, smartphoneC);

}

展示の概要

https://www.youtube.com/watch?v=pP1u3rlRB8I

https://gyazo.com/4a1b41e44ebbe0ab574ce4a1eb45c3a3