待ち合わせ困難なユーザの支援に向けた人の探索時の視線分析
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本文
予備実験からの発見は、待ち合わせ相手を見つけるのが得意でない個人は、すでにチェックした場所を何度も見返すという、より反復的な振り返り行動を行う傾向があることを示しています。一方、得意な個人は、より体系的な探索パターンと反復的な振り返り行動が少ないことが観察されました。
本実験では、振り返り回数を計測して、待ち合わせの相手を見つけるのが得意な人の特徴は何かを計測している
確かに、自分の構築しているアプリでも、近くなった時に、相手を見つけるのをアシストする機能をどうにかしてあげたいなっていうのはある
アプリで待ち合わせをするときに、特徴的な外見を入力させるようなフォームを入力させると、より近くなった時に、待ち合わせの効率化を図ることができるのではないか? なぜ外見?
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この論文では、待ち合わせにおいて相手を探す際の困難さに対処するため、人々の視線動作を分析しています。研究の背景として、携帯電話やスマートフォンの普及により、待ち合わせの柔軟性は向上したものの、人が多く集まる場所での待ち合わせは依然として挑戦的なものであることが指摘されています。本研究は、待ち合わせ相手を見つけるのが得意な人とそうでない人の探索行動の違いを明らかにしようと試みています。
研究方法
研究者は、Tobii Pro Glasses 2という視線追跡装置を使用して、参加者が実際に待ち合わせ相手を探している際の視線データを収集しました。この実験は、明治大学の中野キャンパス内で行われ、参加者は予め指定された4つの異なる待ち合わせ場所で特定の人を探すタスクを与えられました。
主な発見
待ち合わせ相手を見つけることに苦手意識を持つ人々は、既に確認した場所を何度も振り返って見る傾向があります。これは、不確実性を減らすために、確認作業を繰り返す行動と解釈されます。
逆に、探索が得意な人々は、視線や頭の動きがより目的に沿っており、無駄な振り返りが少ないことが観察されました。
待ち合わせ相手を認識する際には、「髪型」が最も重要な要素であり、「服装」や「姿勢」「持ち物」などが次に重要であるとされています。
考察
この研究は、待ち合わせ場所での人探しにおける視線動作の違いに光を当てました。待ち合わせ相手を効率的に見つけるための戦略として、視線の動かし方や注意の集中方法についての理解を深めることが、待ち合わせにおけるストレスや不確実性を減らすための鍵となります。さらに、待ち合わせ相手を探す際に苦労する人々を支援するための新しいツールやアプリケーションの開発につながる可能性があります。
今後の展望
研究者は、実際の待ち合わせスポットである新宿駅や渋谷駅での実験を含む、さらに詳細な研究を行うことを計画しています。また、待ち合わせにおける探索行動に影響を与える可能性のある他の要因や、待ち合わせ相手を見つけるのに苦労する人々を支援する具体的な方法についての検討も進めていく予定です。
この研究は、待ち合わせ場所での人探しに関する認識を新たにし、待ち合わせの経験を改善するための基盤を提供します。
Information
Book title
情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
Volume
2020-HCI-186
Pages
1-8
Date of issue
2020/01/15
DOI
ISSN
2188-8760
Keywords
待ち合わせ / 待ち合わせ困難 / 視線ログ / 視線計測装置 / Tobii Pro Glasses 2 / 探索 /
Citation
古市 冴佳, 中村 聡史. 待ち合わせ困難なユーザの支援に向けた人の探索時の視線分析, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-186, No.23, pp.1-8, 2020.