完全微分系
ご提示いただいた画像は、線形一階常微分方程式の中でも特に重要な**「完全微分方程式(完全形)」の概念とその解法を解説している部分です。 内容が抽象的で難しく感じるかもしれません。この分野で最も重要な「完全形」の定義と解を導くための公式**を中心に、分かりやすく解説します。 🎯 3-3 完全微分方程式(完全形)の解説
「完全形」の定義 (画像 2-70ページ) 微分方程式が次の形であるとします。 この方程式が完全形であるとは、左辺 p(x, y) dx + q(x, y) dy が、ある関数 u(x, y) の全微分 du になっている場合を指します。 このとき、(3.11) は du = 0 と書けるため、その解は u(x, y) = C(C は任意定数)となります。 全微分 du との対応 関数の全微分は一般に次のように定義されます。
したがって、完全形であれば以下の関係が成り立ちます。
完全形であるための必要十分条件 (3.15) 方程式が完全形かどうかを判定するための条件が必要十分条件 (3.15) です。 $$ \frac{\partial p(x, y)}{\partial y} = \frac{\partial q(x, y)}{\partial x} \quad \text{(3.15)}$$ これは、以下の**「混合偏導関数の一致」**の原理に基づいています。
p = \frac{\partial u}{\partial x} と q = \frac{\partial u}{\partial y} なので、
p を y で偏微分し、 q を x で偏微分すると、どちらも u(x, y) の**「x と y で順に偏微分したもの」**になります。
\frac{\partial^2 u}{\partial y \partial x} と \frac{\partial^2 u}{\partial x \partial y} は、通常等しい(\frac{\partial^2 u}{\partial y \partial x} = \frac{\partial^2 u}{\partial x \partial y})ため、(3.15) が成り立ちます。 つまり、(3.15) の条件を満たすことを確認できれば、その方程式は必ず解 u(x, y) = C を持ちます。
一般解の公式 (3.16) (画像 1-71ページ) 条件 (3.15) が成立するとき、解関数 u(x, y) は p(x, y) と q(x, y) を用いて次のように導出できます。 公式 (3.16) の意味と導出の考え方 これは、解関数 u(x, y) を求めるための実用的な公式です。
\int p(x, y) dx の項: これは p(x, y) = \frac{\partial u}{\partial x} を x について積分し、u(x, y) の大部分を求めていることを意味します。この積分定数は y のみの関数 G(y) になります。
G(y) の決定: (A) を y で偏微分し、\frac{\partial u}{\partial y} = q(x, y) と比較することで G(y) を決定します。
これが q(x, y) に等しいので、
\int G(y) dy の項: G'(y) を y で積分したものが G(y) なので、(3.16) の第2項全体が、上記の G(y) に相当します。 要するに、(3.16) の公式は、定数変化法(または解関数構成法**)と呼ばれる手順を一行で表現したまとめの公式です。** 実際の計算では、前回の回答で解説したように、ステップを踏んで u(x, y) を導出していく方法のほうが、途中の確認もしやすく、理解しやすいでしょう。