カレンダーと期間構造
ボラティリティーが残存年数の1/2乗で減衰していく期間構造とカレンダースプレッドの関係
期間構造のモデル
$ \sigma(\tau; \sigma_\infty, z) = \sigma_\infty - \frac{z}{\sqrt{\tau}}
に従っているときのオプション価格
$ V(S, K, \tau, \sigma_\infty, z, r) = V_{\mathrm BS}(S, K, \tau, \sigma(\tau; \sigma_\infty, z), r)
を考える
期間構造はこんな感じ($ \sigma_\infty = 0.3,$ z = -0.03, 0.01, 0, 0.01, 0.03)
https://scrapbox.io/files/646e5b732c17b0001c46ad7a.png
時間だけを動かした場合に、ATMのカレンダーはこんな感じに価格が変動する(全部のプロットが重なってる)
https://scrapbox.io/files/646e5c2e1d843e001c16e9d6.png
$ z=0の場合と曲線が一致しているため、このカレンダーは$ \tauの変化に由来するボラティリティー変化に関して完全にニュートラルであることがわかる
OTMのカレンダーの場合
https://scrapbox.io/files/646e5ccbef4ce4001bdaae2a.png
このように$ zによって異なる動きをするようになるが、$ \tauが小さいところではFOTMになるため考えないことにする(こうなる前に決済する)
$ \tauが大きいところでの傾きの違いはセータの違いによる
セータのプロット
https://scrapbox.io/files/646e5e3f05330c001b41f81e.png
このようにセータにより傾きが異なるだけで、$ \tau経由のボラティリティーの変化の影響はほぼないことが分かる
特に、期間構造が右下がりであってもカレンダーの利益には影響がないことがわかる
$ \sigma_\inftyや$ zを動かしたときの価格変動は簡単で
$ \frac{\partial V}{\partial \sigma_\infty} = \frac{\partial V_{\mathrm BS}}{\partial \sigma}\frac{\partial \sigma}{\partial \sigma_\infty} = \mathcal{V} 
$ \frac{\partial V}{\partial z} = \frac{\partial V_{\mathrm BS}}{\partial \sigma}\frac{\partial \sigma}{\partial z} = -\frac{\mathcal{V}}{\sqrt{\tau}} 
ここにでてくる$ \frac{\mathcal{V}}{\sqrt{\tau}}をパワーベガと言うらしい
$ \sigma_\inftyは普段はほとんど動かないが、$ zはスポットに応じて変化することに注意
同様に$ \tauについて計算すると
$ -\frac{\partial V}{\partial \tau} = -\frac{\partial V_{\mathrm BS}}{\partial \tau} - \frac{\partial V_{\mathrm BS}}{\partial \sigma}\frac{\partial \sigma}{\partial \tau} = \Theta - \frac{z\mathcal{V}}{2\tau^{\frac{3}{2}}}
となるため、$ zが負のときの右肩下がりの期間構造には微量のボーナスが与えられる
ただし、カレンダーにすると分母が効いてくるので逆に作用し正のzがボーナスになるが、ATMから離れすぎると符号が反転する
設定によってはセータと同程度くらいの値になる
こう変形したほうが読みやすい?
$ -\frac{\partial V}{\partial \tau} = \Theta - \frac{1}{2\tau}(\sigma_\infty - \sigma)\mathcal{V}