デジタルアーカイブ論
授業概観
本講義では、文化資源をデジタル化したコンテンツ、Digital Cultural Heritage(日本でデジタルアーカイブと総称されるコンテンツ)の歴史やその仕組み、文化の普及における役割などについて学びます。Digital Cultural Heritageの具体的な例としては、美術品、書籍、文書などの文化資源をデジタル化して、インターネットで公開しているサイトや、博物館などにある情報端末などをあげることができます。
本講義ではこれらDigital Cultural Heritageの歴史と、その概要について学び、特にこれまで知識や情報を蓄積して公開してきた、図書館、博物館、文書館、大学などの機関や組織が、デジタルメディアやインターネットの普及についてどのように対応し、Digital Cultural Heritageなどの文化情報基盤を形成してきたかを学びます。そして、既存の文化資源保存組織だけではなく、個人やNPO、地域、企業やソーシャルメディア上の新しい共同体が、多様な知識情報や文化資源を集積し、公開しているかについても考察します。
さらに、これらのDigital Cultural Heritageにおけるメタデータ(目録情報)作成などの資料情報基盤や、それらが運営されている社会基盤、さらに、どのようなICT技術を用いて設計・構築していくべきかなど、実際の運営や仕組みについても学ぶ講義です。
到達目標
以下のことについて学習することを目標とします。
(1)文化資源保存継承の歴史を理解し、M(ミュージアム)L(図書館)A(文書館)の歴史をとらえる。
(2)文化資源のデジタル化の歴史を理解する。
(3)文化資源のデジタル化の動向の中でのMALUI(ミュージアム、アーカイブ、ライブラリー、大学、企業・機関)連携について理解する。
(4)デジタル化された文化資源を用いた人文学研究について理解する。
(5)文化資源のデジタル化における課題について理解する。
授業計画
第01講:Digital Cultural Heritageとは何か? -知の集積の歴史とDigital Cultural Heritage
第02講:図書館・書籍の電子化とDigital Cultural Heritage
第03講:博物館の発達とDigital Cultural Heritage
第04講:文書館の発達とDigital Cultural Heritage
第05講:大学の歴史と知識基盤としてのDigital Cultural Heritage
第06講:企業とDigital Cultural Heritage 1
第07講:企業とDigital Cultural Heritage 2
第08講:MALUI(ミュージアム、アーカイブ、ライブラリー、大学、各種機関・企業) 連携とDigital Cultural Heritage
第09講:写真資料のDigital Cultural Heritage
第10講:映像資料のDigital Cultural Heritage
第11講:音楽資料のDigital Cultural Heritage
第12講:災害記録とDigital Cultural Heritage
第13講:タブレットにみるDigital Cultural Heritage
第14講:スポーツのDigital Cultural Heritage
第15講:Digital Cultural Heritageを支える資料・社会・技術基盤