人は退屈するくらいなら電気ショックを選んでしまう
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ショック
2014年夏、権威ある科学専門誌『サイエンス』に、心理学者8人よる共著論文が掲載された。著者たちが行った実験の1つでは、被験者となった大学生に、10分または20分間ただ静かに座っているという指示を出した。
「思索しているあいだ、もし気が向いたら、この電気ショックを体験できます。でも、それは完全にあなたの意志しだいです。あなたが決めて構いません。」 男性被験者の3分の2, 女性被験者の3分の1は、少なくとも1回、多くが2回以上の電気ショックを選んだ。全員、本番前に電気ショックの痛みを体験しているので、単純な好奇心でそうしたわけではない。
「15分間ひとりで考えごとをするというのは、多くの被験者が、『お金を払ってでも避けたい』と事前に言っていた電気ショックを自らに与えてしまうほどに嫌悪感を覚える行為のようだ」
じっと座って考えることは、なぜこれほどまでに嫌われるのだろうか。被験者の性格特性も調査からは、おおむね予想される以上のことは分からなかった。すぐに退屈してしまう被験者は、ひとりで考える時間を楽しまなかったし、夢想にふけるのが好きな被験者は楽しく感じる傾向がみられた。 われわれはスマートフォンや電子メールが面倒だと文句を言っているが、実際にはそれらがもたらす気晴らしを楽しんでいるのかもしれない。さらに視野を広げて考えてみると、今回の研究結果は、17世紀のフランスの哲学者ブレーズ・パスカルの次の言葉を思い起こさせる。「あらゆる人間の不幸は、たったひとつの原因に由来する。その原因とは、人間が部屋でじっとしていられないことだ」 退屈や質素な生活で満足できれば、依存症になるリスクを減らせそう