ミルグラムの電気ショック実験
実験を行うにあたって、ミルグラムによりイェール大学で心理学専攻の4年生14人を対象に、実験結果を予想する事前アンケートが実施された。回答者は全員、実際に最大の電圧を付加する者はごくわずか(平均1.2%)だろうと回答した。同様のアンケートを同僚たちにも内密で行ったところ、やはり一定以上の強い電圧を付加する被験者は非常に少ないだろうとの回答が得られた。
実際の実験結果は、被験者40人中26人(統計上65%)が用意されていた最大V数である450ボルトまでスイッチを入れた、というものだった。中には電圧を付加した後「生徒」の絶叫が響き渡ると、緊張の余り引きつった笑い声を出す者もいた。
人が死んでしまうような命令でもたやすく実行してしまうことを観測してしまった実験
命令されたことを執行するだけの立場がそうさせてしまった?
結論ありきで誘導して得たデータの可能性がある
ヒトラーなどの狂信的な指導者が中枢で旗を振るだけでは人は死にません。銃や毒ガスを用いて実際に自分の手で罪もない人々を虫のように殺していたのはナチスの指導者たちではなく、私たちと同じような一般市民だったのです 山口 周. 武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1399-1408). Kindle 版.
分業によって責任が分散してしまっていたのが要因の1つ
別の実験では、反対を取る人が1人でもいれば、良心に基づいた行動を取り戻しやすいことも示唆した
「なにか間違った命令を出したら、みんな反対してくれるだろう」と思って命令したら、そのとおりに実行して大惨事になってしまう
取り返しのつかない場面で他人を信頼しないこと