救済宗教
参考
新社会学事典
救済 salvation[E]; Erloesung [G] 「この世と人間は根源的な限界を抱えているとして人間の苦悩を強調しながら、そうした限界と苦悩が聖なるものの力でトータルに解決された至福の状態がありうるとする信仰。神々や呪術の力で病気や災難などの個別的な苦悩が解決されるという信仰(現世利益信仰)は、民衆の宗教に普遍的にみられる。しかし、この信仰はそれ自体では救済の信仰ではない。個別的な苦悩が人間と世界の根源的な限界の現れとして捉えられ、個別的な苦悩の解決が根源的な限界の克服に通じるものとして理解される場合にはじめて救済の信仰となる。そこで、救済は個別的な現世的苦悩の解決とは関わりがなく、来世での至福とか内面の心理的体験のなかにのみ存在すると捉える思想も有力である。現世否定の傾向が強い歴史宗教の、特にエリート層の信仰では、現世利益信仰が否定されてきたが、日本の新宗教やアメリカのニューソート(New Thought)やペンテコステ派(Pentecostals)のような近現代の宗教運動のなかには、現世利益が救済の重要な現れとして表象される傾向の強いものがある。→現世利益 ( 文献) Weber, M., „Religionssoziologie“, Wirtschaft und Geselschaft(武藤一雄ほか訳『宗教社会学』1976).
[島薗進]