OLD JOY
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もっともプライベートでクローズドな「二人」を描くことが
もっともパブリックでみんなのものになる
たった二人は
みんなのものだ
二人だけの、みんなの映画だ
こういう映画がよく分かるようになったのは
やはり自分が多くの時間と感覚をミルフィーユのように重ねてきてしまったからなのかもしれない
それはある日の朝に古い友人から電話がかかってきてから
次の日の夜までの
たった一日の時間に
待ち望んだ、しわのひだひだがほどけていくように
しょっぱさは甘さのために
塩からスイカがうまれたかのようだ
車のラジオから政治のニュース番組(選挙権の話とエネルギー高騰の話)が流れる車窓の景色と
ヨ・ラ・テンゴのアンビエンタルな手触りのある音楽が流れる車窓の景色は
たぶんほんとうはおなじで
でもちがう
車窓の景色が変わったんじゃなくて
彼ら自身が変わっていったのだ
彼らが二人でいるとき
それは、たぶん誰もが経験するような甘美な時間
この現実と抒情の対比は
たしかに大人のOLD JOYだ
それは一日しか続かないし、それ以上続けるべきじゃない
そういう一日は
ことばなんていらないし
流れていく景色の中で
静かに、いまいっしょにいること、おなじ場所を、おなじ空気を吸っていること
おなじ時間を共有していることのなかにいることだけを大事にすること
これほど車窓が美しい映画があるだろうか?
何も語ることなく
僕たちを捉えていく映画があるだろうか?
#Scraps