本書に寄せて
Jeremy Evansの名前を最初に聞いたのがいつだったのか覚えていませんが、おそらく彼の作っているフレームワークを通じてだったのだと思います。JeremyはRodaというWebアプリケーションフレームワークや、Sequelというデータベースアクセスライブラリの作者として知られています。Ruby界ではウェブアプリケーションフレームワークとしてはRuby on Railsが、データベースアクセスライブラリとしてはActive Recordがデファクトスタンダードのようになっているので、RodaやSequalはそれほど目立ちませんが、知っている人はその品質や性能について高く評価しています。 そんなJeremyですが、Rubyが2.xから3.0に向けて移行作業をしている頃に、Rubyコミッターに就任してくれました。それ以前から、仕様を固める議論には参加してくれていたので、コミッターになったのはごく自然な流れだったのですが、就任後は山積みになった懸案をどんどん片付けてくれました。特に難問だったキーワード引数の仕様において、ある程度の互換性を保ちつつ、新しい仕様を決めていく手腕には舌を巻きました。仕様を固めて提案してくださるだけでなく、率先して実装してくれるパワフルさ。 プログラマというのは、いびつな特性を持つ人が多く、私もご多分にもれず、数学苦手とか忘れっぽいとか人よりも弱点が多いプログラマです。しかし、Jeremyは私の知る範囲では弱点が見当たりません。高速なソフトウェアを開発し、明確なドキュメントを書き、仕様をまとめ、ばりばり実装する。完璧超人か。
本書はそんなJeremyが、自らの知恵の一部を開示してくれた貴重な書籍です。Rubyの基本的クラスからウェブアプリケーションの開発まで、ありとあらゆる領域で気をつけるべき点について懇切丁寧に教えてくれます。この知識を身につけたあかつきには、ワンランク上のプログラマに成長できること疑いなしです。しかし、このような書籍を世に出せるとは、Jeremyの超人伝説に新たな1ページが加えられたようです。
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