言葉にこだわる理由
サービス開発は目に見えない物を扱うことが多い。たとえば、ECサービスにおける「商品」という概念は、売られているモノそのものを指し示すことは可能だが、それだけではなく商品説明などを含むことも多い。
データベースの一行を指して「これが”商品”です」ということは可能だが、それは順番が逆で、私たちが「商品」をそう定義したから存在するにすぎない。
リンゴを指さしながら「ここにミカンがあります」と言われたら多くの人が間違いだと気づくが、それが目に見えないもの、概念的なものだと気づきにくい。ある人は「商品」を説明まで含んだものだと考え、別の人は販売金額を含めて考えているかもしれない。
だから、専門家は言葉の定義を明確にして、誤解される可能性を極力減らし、本質的な議論に集中しようとする。リンゴを指さしながら「このミカンはおいしいですよね」と言われたら、おいしいかどうかという本質的な議論をすることなんてできないだろう。