Memorium
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すきま時間を利用して「偶然」を積極的に利用生活に常駐する環境型アプリケーション
概要
近年,Web 上の情報が爆発的に増大したことやストレージ量の増大などで,個人が多量の情報を利用する機会が増えている.またユビキタス社会に向けた取り組みの研究も盛んである.今後,ますます多くの情報がより多様な情報機器で利用されるであろうが,それに伴いユーザの情報機器に対する操作の複雑化が懸念される.そこで,本研究ではユーザへ負担をかけることなく,生活の中で多くの情報と接するための「眺めるインタフェース」を提案する.眺めるインタフェースとは,ユーザに過度の注意を求めることなく,さまざまな活動の合間に,情報を容易に獲得するためのインタフェースである.我々は,眺めるインタフェースの具体的実装として Memorium というシステムを試作した.Memorium は,ユーザが蓄積するメモやキーワードをもとに,それらに関連する情報を継続的に Web 上から探し出し,水槽の中に浮遊するように動くカードとして常時提示する.ユーザは,日常生活の合間にふと Memorium に目を向けるだけで,偶発的に新しい情報と出合える機会を提供する.
Memoriumとは
Memorium とは,ユーザの興味と近いWeb 上にある情報に日常生活の中で接する機会を提供するシステムである.Memorium は,普段ユーザが能動的に Web 検索しただけでは見つけられなかったような意外な情報や,自分の知識やアイデアから発展した情報と接することを目的とする.
日常生活の中では,メモを壁などに貼り付けることが多いが,これは ToDoやアイデアなどの備忘録としての目的が主である.Memorium というシステムのコンセプトイメージは,壁に貼って置いたメモが,その内容に関連する情報を自動的に呼び出し増殖し,たまに見るとユーザにとって価値のある情報が得られる,いわば情報の泉のようなシステムである.
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システムについて
水槽を連想するような画面内にカードが10枚順次呼び出され,上下左右斜め方向にゆっくりと移動する.カードにはキーワードが含まれる.このキーワードは検索履歴やユーザの興味のあるキーワードを事前に登録・入力しておく.画面内をカードが動き回る最中に,カード同士が接触すると,接触した2つのカードのキーワードを検索エンジンのAPIを利用しAND検索を行う.その結果を画面内にまたカード化して,浮遊させる.そのカードのキーワードには検索結果の上位10件からランダムに1つ自動的に選択された,Webページにタイトルが入る.そのカードがまた他のカードと接触しカードは画面の中で増殖していく.ただし,増殖し続けることを防ぐために,カードには寿命が設定してある.これによりカードが増えすぎることを防止する.
渡邊恵太 安村通晃 ユビキタス環境における眺めるインタフェースの提案と実現. 情報処理学会論文誌, 49(6):1984–1992, 2008.
渡邊恵太 Memorium: 眺めと調節によるコンピューティング. キーボード&入力インタフェース研究会2003. PDF(4185KB)(記事)
渡邊恵太, 安村通晃 Memorium: 眺めるインタフェースの提案とその試作. 第10回 インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (WISS2002)論文集, pp.99-104, November 2002. PDF(7.02MB)
渡邊恵太, 安村通晃 眺めるインタフェースの提案とその試作: Memorium. ヒューマンインタフェースシンポジウム2002論文集, pp.709-712, September 2002. PDF(822KB)