王とは
アランの『内面の統治』という文章から。
FGOのギルガメッシュが「この先どのような窮地が待ち受けようともお前は、ただそこに立つだけで、正しいのだ」というように、王は為政者であるからルールを逸脱することはなく、常識を壊すこともない。一方で市民の論理・街の治安は「各人はいつでも、よい機会を、つまり罰せられないで不正を犯す機会をうかがっているのである」。アランはこの差分を埋めるべくこう呼びかける。
おのれ自身のうちにおいては王者であれ。けっして退位するな。恐怖の支配者であると同時に、欲望と怒りの支配者であれ。(中略)そのようにしたあと、わが友よ、きみはきみ自身において王者になったのだから、王者として振る舞い、きみによしと思われることをなすがよい。
自分が王と呼んでいる個性はこの通りのものである。ルールを破ることなく、感情に飲まれることもなく、ただ鷹揚と王道をひた走る個人である。その行為は全面的な善の影響を持ち、その寛大さによて周囲を統制する。お互いがお互いの王道に導かれ、広い道幅を形成し、側道からもあらゆるものを引き入れる。