ドネルケバブの安全性
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■はじめに
ドネルケバブは、炙って焼いた肉を削ぎ切って提供する食べ物です。そのため深く削ぎすぎると生肉を提供するリスクがある食品でもあります。ここでは、厚生労働省の食中毒発生事例をもとに、ドネルケバブで食中毒が発生した事例を過去5年分(2014-2019速報)取り上げます。
■年表
◆2014年(飲食店で発生した590件中0件)
◆2015年(飲食店で発生した742件中 2件)
・兵庫県…7月30日 サルモネラ菌
・群馬県…11月7日 セレウス菌
◆2016年(飲食店で発生した713件中 1件)
・奈良県…7月17日 ブドウ球菌
◆2017年(飲食店で発生した598件中 0件)
◆2018年(飲食店で発生した722件中 2件)
・大分県…4月9日 ノロウイルス
・千葉県…10月9日 カンピロバクター
◆2019年(飲食店で発生した31件中0件)
■所感
ドネルケバブを食べたくないと考える方の多くは衛生面を気にされています。確かに衛生面では先述したようにリスクのある食品ですが、年表を見ると思ったよりも多くないと思われるのではないでしょうか。ドネルケバブと他の食品が大きく違うところは、技術や経験が必要なところです。ドネルケバブは表面を炙って焼けている部分を的確に切る必要があります。逆に言えば、焼けていない生の部分まで切ってしまう可能性があって、ここはケバブ店がお肉を切る際に一番気をつけている点です。特に屋台やキッチンカーでは鶏肉を使用する場合が多いですから、生は本当に危険です。この発生件数の少なさは、多くの業者の方々の不断の努力によるものですが、その一方で安全性に問題がある業者がいるのも事実です。
例えば2015年に群馬県で発生した事例。こちらは女子大学の学園祭にて、業者がケバブを提供した際に発生した事例ですが、この業者は営業に必要な許可を保健所から取得していませんでした。こうした保健所からの許可を受けずに営業する業者も時折見かけます。特に深夜の大通りや駅前に現れては、キッチンカーでゲリラ的に営業を行う悪質な業者がそれです。こうした業者を違法ケバブと呼んで、私は見かけるたびに警察に通報しています。 こうした違法ケバブ業者は、万が一食中毒を起こした際の賠償責任を踏み倒す恐れがありますし、適正に営業をしている他のケバブ店を金銭的に圧迫するなど、様々な負を業界にもたらします。私としても、せっかくドネルケバブを知って頂き、食べに行った先が違法ケバブで「美味しくない」と感想を頂いたことがあります。とても悔しい思いをしました。
私個人はドネルケバブに関する情報を発信するという責任から、食品衛生責任者の資格を持っており、最低限の食品衛生の知識は得ているつもりです。今後も継続してドネルケバブと安全性の問題を注視して、発信していきたいと思います。
■外部リンク
厚生労働省「食中毒統計資料」
メルツのドネルケバブログ該当ページ「お祭りの屋台のケバブを食べたことがない」