養老孟司先生インタビュー③子育てで一番大事な事
無意味なことにつけておく
– 先生、現代社会で小さな子どもの子育てする上で、一番大切な事は何でしょうか。
「とにかく『外に連れて行く』こと。そうすると、無意味な情報がやたら入って来るでしょう?
僕は『無意味なものにどれくらいつけておくか』という事が、子育ての根本だと思っています。無意味なものに触れている事が、今の子どもは少な過ぎる。大人がすぐ「意味」を教えてしまう。そうすると、子どもも見える物がそういう風に見えてしまうから。」 – 全てに「意味」があると。
「そう!都会ってそうなっているでしょ?無意味なものが一切無いんです。石ころを道路に置いてみなさいよ。『邪魔だ!』ってすぐ片づけられちゃう。
情報化社会になって『情報って何なんだろう』って、前から考えていたんです。情報って「意味」に直結するんですよ。要するに『情報に意味がないと捨てちゃう』んですよ。スマホだってそうでしょう?意味が無いと判断すると即、読まない。
-「意味の無い物」は「いらない物だ」と子どもが思ってしまうという事ですね。
「ヨーロッパでは『子どもの自然欠乏症候群』という言葉があります。石ころ、水たまり、虫が這っている、草が生えている・・・そういう世界に子どもを十分浸してあげないと、知覚がまともに育ってこないんです。無意味な物をもっと見る事が大切なんですよ。」