違和感を抱いている人に聞け!
しばらくして気づいたのは、〝違和感〟ということだ。 真知さんは日本に違和感を抱いて旅立つのだが、旅先でもつねに違和感を抱いている。どこに行っても、そこにうまく溶け込めない。
たとえば、現地の人たちが食べている猿の肉を出されたりすれば、旅行好きの人というのは、そういう食べ物こそ喜んで食べて、現地の人たちとたちまちなごやかになっていくものだ。しかし、真知さんは食べない。だから、なごやかになれない。
「それじゃ、ダメじゃないの?」と思うかもしれないが、そうではない。
何でもすぐに食べて、現地の人と仲良くなれるような人には、見えないことがたくさんある。
「それは逆では? 現地の人たちに溶け込めてこそ、ディープなところまで知れるのだから」と思うかもしれないが、意外にそうでもない。
しかし、その水にしっくりなじめる魚は、その水のことを考えなくなる。
同質性が強いコミュニティが作りやすい社会になっていく中で、意図的に居心地の悪さを作らないと思考が深まらない。