『マーケットのテクニカル分析 ――トレード手法と売買指標の完全総合ガイド』 / ジョン・J・マーフィー 【読書メモ 2024年7月】
テクニカル分析 = 将来の価格動向の予想するためにチャートを使って市場の動きを研究すること
【テクニカルアナリストの3つの重要な情報】
1. 価格
2. 出来高
3. 取組高(先物/オプションのみ)
値動き(価格の動き・プライスアクション) ≒ 市場の動き
需要と供給の変化を反映している
それが市場に強気と弱気を引き起こす
【テクニカル分析の3つの前提】
1. 市場の動きをすべて織り込んでいる
2. 価格はトレンドを形成する
3. 歴史は繰り返す
トレンドの存在を認識してそれに追随しようとすること
形成されはじめたトレンドは反転するよりも持続する可能性が高い
反転サインが生じるまで今のトレンドが維持される
【ファンダメンタルズとテクニカルの違い】
ファンダメンタルズ:相場が動く「原因」の分析
その解を市場の需要と供給という原動力に焦点をあわせる
テクニカル:相場の「結果」の分析
タイミングの問題:いつ仕掛け、いつ手仕舞うのか
市場価格は既知のファンダメンタルズに先行する
市場価格にはファンメンタルズの先行指標という役割がある
ファンダメンタルズは市場に織り込まれている
「現在価格」はすでに「既知のファンダメンタルズ」が織り込まれて反応した後である
市場最も劇的な上昇相場と下落相場が既知のファンダメンタルズから始まったことはほとんどない
価格構造の複雑さ
各商品が異なる取引単位と呼称の単位(値付けの刻み)で値付けされる
取引最終日まで取引が可能
低額の必要証拠金
丸代金の10%未満の証拠金で売買できる = 高いレバレッジ
短い時間軸
株式市場の移動平均の期間50〜200日
先物市場だと4 / 9 / 18 日が多く、長くても40日ほど
先物はタイミングがすべて
市場全体平均・指標があまり重視されていない
個々の商品分析が重視される
取引が活発な20銘柄のコモディティを見ておけばそれ以上は必要ない
センチメント指数と資金フロー分析が非常に重要
テクニカル分析に向けられる批判
(根拠のない予言でも人々がそれを信じその通りに行動すれば現実になる)
→ 全員が同じときに同じものを見ているという状況は起こらない
≒ 主観的にならざるを得ない性質
「過去の価格データが本当に将来の価格予想に利用できるのか」
天気予想など含めてあらゆる予想は過去の実績データに基づく
■ 先物取引の取組高
■ 先物の出来高・取組高の合計枚数と限月ごとの枚数
先物の限月が発表された初期は出来高・取組高ともに少ない
納会が近づくほど増えていく
一方で納会2〜3ヶ月前になると再び減りはじめる
トレーダーはその限月が納会に近づくにつれて保有ポジションの流動性を確保しておかなければならない
■ 基本理念
1. 平均株価はすべてを織り込んでいる
1. 「需要と供給は総じて影響を与える要因となり、人々に知られる可能性があるものはすべて相場に織り込まれている」
1. 自然災害などの想定外のことまで素早く折込瞬時に価格に反映される
2. 市場には3種類のトレンドがある
1. 1 大:メジャー、プライマリー
1. 1年〜数年
2. 2 中:インターメディエイト
1. 3週間から3ヶ月
3. 3 小:マイナー
1. 3週間に満たないトレンド
3. メジャートレンドには3つの局面が存在する
1. 1 アキュミュレーション局面
1. 最も賢明な投資家が情報に基づいて買い占める局面
2. 2 パティシペーション局面
1. トレンドフォローを支持するテクニカルアナリストが大半の市場に参加する
3. 3 ディストリビューション局面
1. 新聞の記事が強気になり経済統計が改善され投機筋の売買と一般投資家の参加が増える
4. 2つの市場平均を確認する
1. どのような強気シグナル・弱気シグナルも両方の平均株価が同じシグナルを出さなければ重要ではない
5. 出来高でトレンドを確認する
1. 出来高はメジャートレンドの方向に沿って増加する
1. 価格が上昇したときに出来高が上昇し、下落すると減少する
2. 出来高を補完的な指標と考え、ダウ自体は売買シグナルを終値で判断していた
6. トレンドは明確な反転シグナルがでるまで効力を持つと仮定する
1. 物理法則との連動性
1. 運動中の物体(このケースではトレンド)は、外部の力がその向きを変化させるまでは持続するという法則
1. フェイラー(失敗)スイング
2. ノンフェイラースイング
ダウは終値にかなりの信頼を置いていた
終値が前の高値を上抜くか、前の安値を下抜くか
■ ダウ理論の批判
シグナルが明確に出るのを待っていたら値動きの20〜25%を取り逃がす
ダウ理論で買いシグナルがでるのはインターメディエイトトレンドで形成された山の高値をブレイクしたとき
算術目盛りと対数目盛り
連続的な価格変動があるとき算術目盛りだと昨日比較の数字変動が値動きが割合増加で表現できない
【トレンドの概念】
トレンドの定義
トレンドを形成するのは高値と安値の方向
上昇トレンド / 下降トレンド / 横ばい
取引の3分の1がトレーディングレンジと呼ばれる水平で横向きの動きになる(トレンドがない状況 / "ライン")
トレーダーの意思決定の3つ
何もしない = 横ばい
■ 先物における3つのトレンド
1. メジャートレンド
1. 6ヶ月以上
2. インターメディエイトトレンド
1. 3週間〜数ヶ月
3. マイナートレンド
1. 2〜3週間程度
3つのトレンドはさらに大きなトレンドの"調整"の一部を成す
■ 抵抗線と支持線
安値(ここまで下げたら反発するであろう下値)
高値(ここまで上がったら反発するであろう上値)
出来高は支持線と抵抗線の重要性を測る方法
支持線領域と抵抗線領域で取引される時間の長さ
出来高が大きければ大きいほどそのラインの支持層が多いということ
取引発生の時間的な短さ
上昇トレンド
底値が抵抗線を超えたとき
下降トレンド
高値が支持線を下回ったとき
きりのよい数字は支持線 / 抵抗線を支える力がある
@ 相場を形成するメジャーな通貨による
上昇トレンドライン
安値の下に沿って引かれる
下降トレンドライン
高値の上に沿って引かれる
暫定トレンドライン
有効トレンドライン
価格がライン上に3回目に触れた時
終値がトレンドラインを突破したときは日中に突破したときよりも重要性が増す
時間フィルター
2日間ルール
あるトレンドラインのブレイクが有効性を持つ条件として終値が2日連続してトレンドラインをブレイクしているか
3本目のラインブレイクが有効なトレンド転換シグナル
テクニカル分析全般に「3」という数字が持つものの意味合いが大きい
@ 人の認知限界の問題
トレンドラインは急勾配であるほど長続きしない
より急角度なトレンドラインが必要なときは「移動平均」という方法を使う
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トレンドラインは買いポジション / チャンネルラインは短期売買の利食い
チャンネルラインからブレイクすれば、そのチャンネルの幅と同じだけ価格は動く
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50%リトレースメント
強気相場で100→200に上昇したときに約半分の150まで下落する
その後上昇モメンタムに回復する
1/3 リトレースメント 2/3 リトレースメントなどもある
リトレースライン比率にトレンドラインを組み合わせたも
トレンドを3つに分解する考え方
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■ 内部トレンドライン
可能な限り多くの高値と安値をつなぐライン
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高値 / 底値における取引高のピーク
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【反転と継続】
■ 反転パターンに共通すること
1. すべての反転パターンに必要な条件は、そのパターンの前に進行中のトレンドがあること
2. トレンド転換の最初のシグナルは、重要なトレンドラインをブレイクすること
3. パターンが大きければ大きいほどその後の値動きも大きくなる
4. 天井パターンはそこのパターンよりも期間が短くボラティリティが高い
5. 底のパターンは比較的値幅が狭く、形成されるまでの期間が長い
6. 反転上昇するパターンは出来高がより重要になる
価格は上昇するときよりも下落するときの方がスピードが早い
■ 反転パターン
ヘッド・アンド・ショルダーズ
逆ヘッド・アンド・ショルダーズ
複合ヘッド・アンド・ショルダーズ
失敗したヘッド・アンド・ショルダーズ
もみ合い型ヘッド・アンド・ショルダーズ
トリプルトップ / トリプルボトム
ダブルトップ / ダブルボトム
ブルトラップ
ソーサーボトム
スパイク
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【継続パターン】
トライアングルパターン
対象トライアングル
上昇トライアングル
下降トライアングル
拡大型トライアングル
トライアングルパターンの中で値幅が少なくになるにつれて出来高は減少する
フラッグ
ペナント
ウエッジ
レクタングルパターン
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■ 出来高
出来高は現在進行中の価格トレンドと同じ方向に増加する
価格が上昇すると増加し、下落すると減少する
出来高は価格トレンドの「確認」
価格が前の高値を突破しているのにも関わらず出来高が前の高値より減少しているとき
出来高は価格に先行する
価格の動きとダイバージェンスをモニタリングする
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■ 取組高
上昇トレンドで価格が上昇し取組高が増加したときは市場に新規の資金が流入しており、積極的な新規の買い意欲が存在している
→ 強気
価格が上昇しているが、取組高が減少しているときの上昇は買い戻し(含み損を抱えた売りポジションの保有者の損切り)によるもの
→ 弱気
下降トレンドで価格が下落し取組高が増加したときは市場に新規資金が流入して新規の売り意欲が存在している
→ 弱気?
価格下落時に取組高が減少してるとき失望売り、損を抱えた買いポジションの損切り
→ 強気?
取組高の減少が見られたときはトレンド変化のサイン
天井圏で取組高が高く価格の下落が突然起こったときは弱気サイン
天井付近の新規の買いポジションが含み損になったときのサイン
相場が横ばいのときに取組高が大きくなるとブレイクアウトが起こったときのボラが大きくなる
価格パターンの完成と同時に取組高が増加するとシグナルの信頼性が高まる
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■ ブローオフ / セリングクライマックス
ブローオフ
大天井
先物のブローオフでは最後の上昇中に取組高の減少が生じる
セリングクライマックス
大底値
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【長期チャート】
つなぎ足チャート
永久先物 / 限月(パーペチェアルコントラクト)
数年にわたる先物価格の履歴を1つの連続した足にして提供
長期チャートはランダム性に意義を唱える
長期→短期の順でチャートを見てみる
長期チャートはインフレ調整の必要がある
【移動平均】
一般的な集計
直近10日間の終値を合計する
毎日10日分の合計を日をずらしながらチャートを作る
その10日分の数字を日数で割り戻す
移動平均は時間の差を平滑化する
単純移動平均
加重移動平均
加重移動平均の場合は日数の終値にその日付をかける
→ 移動平均の終りに重心をおく
指数平滑移動平均
現在に近いほどデータの重みを大きくする
二重交差メソッド
いくつかの日数の移動平均を組み合わせて判断する
移動平均エンベロープ
%エンベローブ
平均線の上下に一定の比率で算出されたラインを引く
ボリンジャーバンド
上下二本のラインを標準偏差に基づいて引く
標準偏差:価格が平均値からどれぐらい乖離しているか
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■ 先物の4週間ルール
価格が過去4週間の高値を上抜いたときは売りポジションを手仕舞いし買いポジションを立てる
価格が過去4週間の安値を下抜いたときは買いポジションを手仕舞いし売りポジションを立てる
【オシレーター / コントラリーオピニオン】
オシレーター
買われすぎ / 売られすぎの計測
モメンタムの計測
10日間のモメンタムライン
直近の終値から10日前の終値を引く
コントラクトオピニオン
残存する買い圧力 / 売り圧力を測定する
トレーダーの強弱を示す
【ローソク足】
かぶせ線
弱気を暗示する2日間の反転パターン
切り込み線
相場反転の強気サイン
宵の明星
明けの明星
上げ三法
下げ三法
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■ 成功するトレードの3要素
1. 価格予想
2. トレード戦術
1. ≒ タイミング
2. 仕掛けと手仕舞いのポイントを特定する
3. マネーマネジメント
1. 資金分配
■ 一般的なマネーマネジメント
1. 株や先物の投資に向けられるのは総額50% / 残りは短期国債
2. ひとつのマーケットに投下される投資額は10〜15%に制限すべき
3. 1つの銘柄のリスク総額は投下資金の5%以下にすべき
1. ボラティリティから損切り注文のラインを擬似設定
4. 1つの銘柄グループに振り分けられる証拠金の総額は、投資資産全体の20〜25%に制限
損切りのストップ注文を事前においておく
■ トレード戦術のTips
ブレイクアウト
ブレイクアウトを予想して小さく張る
ブレイクアウト起こったら増し玉
ブレイクアウト後の押し目で少しポジションを追加
上昇トレンドにおけるリトレースメント比率の活用
リトレースメントが40〜60%で新規ポジションや増し玉
■その他
フィボナッチ数列
1、1、2、3、5、8、13、21、34、55・・・
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