ラリー・サンガー
wikipedia2018年4月4日
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“ラリー”ローレンス・マーク・サンガー(Lawrence Mark "Larry" Sanger、1968年7月16日 - )1は、アメリカ合衆国の哲学者、大学教授。専門家が参加するフリー百科事典プロジェクトCitizendium(シチズンジアム)の創始者である234。
哲学者としては認識論(epistemology, theory of knowledge)に関心をもつ。
多くのオンライン百科事典のプロジェクトに関わっており、Nupediaの編集主幹5およびチーフ・オーガナイザーを務め(2001年 - 2002年)、その後身ウィキペディアの共同設立者でもあった678。Nupediaでは記事の編集プロセスのとりまとめをおこない、ウィキペディアの初期にはコミュニティ・リーダーとして基本的な運営方針の大部分を形にした。こうした活動と平行してオハイオ州立大学で哲学の教壇に立ち、また専門家の執筆・編集によるEncyclopedia of Earthの初期構想にも参加した。
2006年9月15日にウィキペディアのフォークとしてCitizendiumの構想を発表し9、現在編集主幹を務めている1011。プロジェクトは2007年3月25日にサービスを開始した12。
これまで哲学の歴史は不和と混乱に満ちていた。この事態に対して、哲学の真実が知りうるか否か、あるいはそうした真実が存在するかどうかを疑う哲学者がいる。しかし、また別の反応もできるだろう。つまり、個々人の知的先達よりもさらに注意深く、入念な思考を始めることができるかもしれないのだ。
Wikipedia以後
サンガーは哲学の教授64としてオハイオ州立大学の講師職に就き、2005年6月まで教壇に立った14。専門における関心は認識論にあり、とりわけ初期近代の哲学および倫理学を扱った。余暇にはオハイオ州コロンバスやデイトンでフィドルを用いたアイルランドの伝統音楽の演奏や指導を行っている。また、伝統的なフィドルについてのウェブサイトも運営している65。
2005年12月、ディジタル・ユニヴァース財団(Digital Univers Foundation)はサンガーが「分散コンテンツプログラム」(Distributed Content Programs)のディレクターとして雇用されていると発表した66。その後、2006年初頭に立ち上がったDigital Universe Encyclopediaのウェブ・プロジェクトの中心的なまとめ役となる6768。Digital Universe Encyclopediaは、項目執筆およびユーザーの投稿記事の正確さをチェックする専門家を雇用する予定であり、この企画の最初のステップが、地球についての電子レファレンスであるEncyclopedia of Earthであった6970。
2006年4月、サンガーは「テキストとコラボラーション:テキスト・アウトライン・プロジェクトのための私的マニフェスト」("Text and Collaboration: A personal manifesto for the Text Outline Project")を発表。これは彼が「強いコラボレーション」(各人がそれぞれの関心領域に参画し、だれもコントロールを要求しないもの)とよぶものの重要性と、この「強いコラボレーション」がWikipediaの無政府的な基本ルールよりも有効なものになりうる可能性、さらに〈世界の本〉(The Book of the World)をつくりあげるためにテキスト・アウトライン・プロジェクトを新規に立ち上げることを述べたものである。このテキスト・アウトライン・プロジェクトは、歴史上の哲学者の思索を内容と時代で整理して概要を示し、それらの間に生じた議論のアウトラインをとりまとめるプロジェクトである71。
2006年9月の「オズの魔法使い」カンファレンス(Wizards of OS=Wizards of Operating Systems conference)で、サンガーはウィキペディアのフォークであるCitizendium構想を発表した。このフォークの主眼は、ウィキペディアシステムで明らかになった多くの欠陥を改善することである。主要な違いは匿名編集がなくなって執筆者および編集者が本名を示す必要がある点、編集者ヒエラルキーの排除、そして「真の百科事典」を指向することである。これ以外のウィキペディアとの違いについてはCitizendiumウェブサイトのFAQで解説されている72。最初は英語版ウィキペディアをベースにした完全なフォークとして立ち上げることが計画されていたが73、2007年3月の一般公開に先立ってCitizendium参加者によって書かれた記事に重点をおくように方針が変更された74。
サンガーは2006年9月27日、「Citizendium財団を完全に独立なものとして設立するため」にディジタル・ユニヴァースから一旦身を退くことを明らかにした9 。Citizendiumコミュニティは節度があり、友好的であると評価されている75。
ラリー・サンガー