果しなき流れの果に
獣の裔にうまれて、みちたりた腹と、あたたかい洞窟の暗がりに、かぎりなく幸福な眠りをむさぼることのできる人の心が、同時に、虚無と抽象のはての、巨大な宇宙の姿をうつすことができるのはなぜか?
あとがき。
思えば、私がSFに惹かれた最大の理由は、たえず既成の価値を相対化するクールな知性だったような気がする。最後の最後に、実は壮大な冗談だったんだよ、とポンと肩をたたかれたとしても、私の世界はすでに変容を遂げてしまっている。私自身の世界に対する認識の方法が変わってしまっているのだ。
話しもごちゃごちゃで、わけがわからないが、だんだん、時間旅行というのか。ある人たちが、ある人たちを追っているのが見えてくる。
それは歴史を改変しようというグループと、それを管理し改変を阻止しようとしているグループである
三体を彷彿とさせる。進化を管理する管理機構 vs 反逆者。 25紀。軌道エレベータ上にある超科学研究所で、古ぼけたTVセットの研究が行われていた。亡霊が現われ、未来から干渉してくる2つの勢力について警告するだ。が、亡霊の名がバンショウヤ・タカノリであることを知った工作員に資料衛星を破壊され、研究は長く滞ることになる。 時空を越える進化管理機構の超意識体、アイは、超科学研究所の破壊からもどり、第26空間の「収穫」に向かう。全宇宙に存在する全ての「意識」(生命とも読む)は、この管理機構によって育てられ、あるいは断種されるのだ。
第26空間に存在する地球は、太陽の異常で、いましも終焉を迎えようとしていた。「宇宙人」を装ったアイたち「審判者」は、破滅に瀕した太陽系から多くの球人たちを円盤でつれ去る。超能力を持つ人間を選別し、進化の階梯を進ませるのだ。 だが、管理機構に敵対するグループがいた。あらゆる変化のベクトル対する抵抗力が形象化された存在である、“ルキッフ”をリーダーとした反逆者たちである。管理機構から逃れた野々村も、その一人となっていた。彼らは、収穫」のどさくさにまぎれて多くの人材を味方に引き入れる。