Neverland, Neighborhood
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20240521の文学フリマ東京38で入手。
大戸又氏主宰のサ!脳連接派から、アーバンファンタジーをテーマにしたアンソロジー。
BlueとRedの2分冊
通販 https://walkingchair.booth.pm/items/5770945
Blue収録順に感想
如何にして如何に知らまし偽りを/千葉集
京都には修学旅行でしかいったことがないけど、こんなキツネとタヌキとイヌがいるんだ
やぶれかぶれの小人物がたいしてよいことも成し遂げずにそこら中めちゃくちゃにしてバーンバーンと破滅するときの美しさってある
観光地というのはえてしてそういうものだが、整えられたはりぼてが人と金を呼ぶ
その後ろには整っていない本物があったり、あるいは何もなかったりする
どうせ俺の代で絶えるならめちゃくちゃにしたろ、って思うときはある
曼荼羅花狂想曲/ねこたろう
いつものやつ
灰色の男、夢枕獏すぎる
触手につかまって謎の液体をぶっかけられるのがそっちだとは、このリハクの目をもってしても読めなかった
聖骸の街にまつわる怪談集/坂永雄一
全部いい
鉄塔
縄跳びする鉄塔のgif
好き好き大好き
オープンワールドゲームで考えなしに何かをした結果、ネームドNPCが変なタイミングで死んでいたときのやっちまった感に近い
街の血管
塔の心臓!?
怪談というか、かなり神話
昔、あつめられたもの/巨大建造
濃い目の語り口
作中語り手のパーソナリティが見えてくると味わいが増す感じで、よい
ポケモンとセックスすな
やっぱりポケモンとセックスしろ
ご自由に
あらゆるディティールをはぎとったら(はぎとるな)「わたしが知らなかった家族をめぐるひと夏の旅」的なアオリのつく読み切り漫画のような、爽やかな話
はぎとらずともそう
同じくRed
ヒト中心設計とイヌを巡る冒険/青井タイル
「ITコンサルタント」という業あるいは職について、黒光りした人がすごいパワーを放ち、力強いパワーポイントおよびエクセルが生み出されるという、相当に粗いイメージをもっている
本作はこのイメージに近い上司が出てきたのでよかった
「ぶっ殺すぞ」レベルの、職場で上司が部下に放つには剣呑すぎる言動を、「いい意味で」の一点張りでなんらかの範囲におさめようとするところ、かなり好き
こういうギャグを後からちゃんと別の意味で効かせてくるのもよい
「イヌは目上の人間に惚れがち」、犬っぽくてよかった
そういうイヌとヒトが対等なパートナーシップを結ぶの、相当な困難が伴いそう
カスみたいなエクセルを偉い人にウンと言わせるの、涙を禁じ得ない
熊神たちの沃野/阿部登龍
非物語文の形式を引用するのって、いいよね……
架空の昭和って、いいよね……
人間のものでない土地に住まう神秘的存在って、いいよね……
格闘狂時代/呉衣悠介
アーバンファンタジーおなじみ(?)の種族と、おなじみじゃないかもしれない格闘技の興行モノ
物語で格闘技を扱うとき、格闘技それ自体ではなく、人間(?)同士の因縁がドラマを生むよね
格闘技の興行じたい、殴り合いによって表現されるドラマを見せている
異種(異種族)格闘あるある集みたいな部分ももっと読みたいし、復讐を誓う元プロボクサーのドラマももっと読みたいぜ
血界戦線の地下格闘回読み返したくなった
インクレディブル人魚バンド/大戸又
よかった。わかったような書き方をするが、僕が読んだ大戸又さんのやつの中でもかなりキャラクターの味がした
異なる場の音楽(ライブハウス、教会)がどう異なりどう結びつくのか
体も文化も違う自分たちはどう結びつくのか
つまりこれもアーバンファンタジー……