[about] Kansai Studies 第1期「水」について
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Kansai Studiesは、KYOTO EXPERIMENTを構成する3つのプログラムの一つであり、リサーチを主体としたプロジェクトです。 KYOTO EXPERIMENTの開催地である京都を中心とした関西エリアをアーティストと共にリサーチし、そこで発見されたもの、そのプロセスで起こったことや考えたことなどを、テキストや写真、動画などでこのウェブサイトに公開していきます。アウトプットの形式は事前に決めずに進行しながら検討し、その過程も見せていくこと、そして、数年かけてリサーチを続けていくことがポイントです。 2020年度は、建築家ユニットdot architectsと、演出家の和田ながらとともに、「水」をテーマにリサーチを展開します。生物の生存に欠かせない物質であり、農耕、漁業、流通、産業、工業など人の生活のあらゆる営みにつながっている水。その現場に出向き、空間に身体を投げ出して体感するアーティストと、そこで起きていることを知覚しながら進んでいく……。この地で水がなしてきた様々な出来事を探っていくリサーチは、発見に満ちて、まるで冒険のようです。
これまでKYOTO EXPERIMENTでは、参加した国内外の多くのアーティストが京都での滞在経験におけるリサーチを元に作品を創作・発表してきました。リサーチ中に発見された興味深いたくさんの事柄は、作品に結実するときに、咀嚼され、抽象化された表象に変化していきます。抽象化されることで作品に力が宿るわけですが、裏返すと、その背景には、作品に結びつかなかった多くの発見や、発見から導かれた思考、発想が隠されているということでもあります。
私たちは、リサーチの過程にあるたくさんの魅力ある原石を、ほかのアーティストや、あらゆる人びとと共有する機会を作りたいと考えてきました。
リサーチを主体としたプログラムを、KYOTO EXPERIMENTで行う理由に、次世代の国際フェスティバルを創造したいという思いがあります。そこで重要なのは、なぜ京都で行うのか?という視点です。
現代を生きるアーティストが創作する作品は、現代社会やこの時代と深く結びついています。アーティストの作品創作の源にあるリサーチという時間に光を当て、広く開いていくことで、アーティストの表現と日常社会がシームレスにつながっていることを鮮やかに描き出したいと考えました。
同時に、私たちの日常を再認識し、日常を全く違ったものに変えてしまうほどの可能性がリサーチという営みにはある、という実感を私たちは持っています。私たちの暮らしているこの地域には多くの発見されるべきことが眠っていて、深く潜り込むことで世界を広げてくれるという期待です。それは、この地域の人々が、古来よりこの風土と応答しながら日々の生活の中で編み上げてきたなにげない振る舞いや生活の工夫、環境を読み解く知恵からもたらされたものであるからです。
そういった、この地域で不特定多数の人々によって作られ、折りたたまれるように堆積した時間をアーティストの持っている、日常を規定のものとせず、みずからの身体を通して再構築するあり方を通して接近すること。それがこのプロジェクトの目指すところです。
さらに、他地域や海外など様々な場所から京都に集うアーティストたちが、京都や関西と出会う入り口となり、バックボーンの違う人々の視点がもたらされることで、お互いに豊かになっていく。そういった交流のプラットフォームにしていきたいと考えています。
KYOTO EXPERIMENTに現在、または将来関わっていく多くのアーティストの創作のきっかけとなり、広がっていくことを期待しています。
助成 : 一般財団法人地域創造[Intergenerational Thinking - 世代間の対話]
主催 : KYOTO EXPERIMENT