[レポート] vol.1 パーティには何が宿るのか
今回はレポート初回ということで、リサーチの背景とアプローチについて記述していきます。
突然ですが、皆さんはパーティは好きですか?最後にパーティに足を運んだのはいつですか?もしくは自分で行ったパーティはありますか?
パーティの定義とはなんでしょうか?一般的にはそんな定義はないですが、私の研究ではクラブカルチャー史の力作「ブラックマシンミュージック ディスコ、ハウス、デトロイトテクノ」(野田努)*1から引用して、2台以上のターンテーブル(もしくはCDJ、PCDJ)を駆使しながらDJが曲を流す空間とします。音楽ジャンルは問いません。
なぜパーティに注目するのか?私が本リサーチで探求したい「詩的なテクノロジー」は故デイヴィッドグレーバーの言葉で、私なりに解釈すると、パーティを実現しようとするときに生じる、物事を推進する力のようなものです。パーティは思いつきでもできますが、実施のためには場所の手配から、段取り、空間の再構成など一時的に知識を動員する必要があります。これはホームパーティであっても同様です。簡単に言えば、こうした力が人類から失われつつあるのではないか?失われた社会は危うい。そんなことを思っています。少々大げさですが、わりと本気です。その力のあるなしが、エリアや都市の持続的な営みに不可欠と考えるのです。ちなみに詳しく記述した内容をAMeeTの連載*2に記載しているので、ぜひ興味があればお読み頂ければ幸いです。
なぜクラブパーティが対象なのか?について、端的に言えば、クラブパーティにはそれぞれ”美学”が宿っていると考えるからです。もちろんホームパーティにも美学があるでしょうが、街や都市の中に宿る美学を備えた離散的集合体こそクラブパーティだと考えます。
(社会学者・ミシェル・マフェゾリはこうした集合体をネオ・トライブという言葉で語っていますが、私はこの言葉があまり好きではありません。)
これまでもリサーチでは、フィールドリサーチとしてパーティに足を運び、DJ/オーガナイザーへインタビューをおこなってきましたが、今回は軽やかなアプローチとして、主催者へフィルムカメラを渡し「あなたのパーティの美学を写真に撮ってきてもらえませんか?」というお願いをしています。また私は職能にも興味があります。職能の持つ性質とは何か?とくにモノとして残らない職能です。今回ではオーガナイザーがその対象といえます。
最終的にはZINEのようなものにまとめたいと考えていますが、こちらでも小出しにできればと思います。またこのリサーチには学生及び、クラブやヴェニューで遊ぶ人々の協力や情報が不可欠です。SNSも美学のひとつと言えるでしょう。フレッシュであることは、クラブパーティのひとつの正しさとも言えます。もちろんロングランのパーティの価値等について、別の研究として行っていますが、本リサーチではあくまで2024年のKansai の質感を収めたいと考えています。次回以降で、いくつかのパーティとインタビューを小出しにしていきます。
https://gyazo.com/2eec4f9327f2cc653629528d2a533288
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