[レポート] ニュー・フィールドワーク京都編 #10 2024.10.26
リサーチ18日目。天気良好。今日は人も鳩も多く賑わっている。本日は『ロームシアター京都の鳩 観察会』と題して、参加者を募り、観察会を開催した。はじまる前に、今回ともにリサーチしてくれているべにさんと中根千枝さんとで先に集合し、今日の流れを歩きまわりながら共有する。岡崎公園にて、白居はとを・はとよ が共に行動をしている姿を発見。人に蹴散らされ、2羽ともに道路向かいの公園に移動していった。
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12:30、KEX屋台前に集合。軽く挨拶をした後、さっそく歩きはじめる。中庭を通りすぎ、まずはノースホールあたりや京都市美術館 別館の建物を外から見てまわる。次に駐輪所のある一角や木の根あたりの餌場になっている砂地を案内する。岡崎公園を横目に眺めつつ、蔦屋書店東口入口にて、かつてあった「巣」や、そこで暮らしていた「家族」「雛の成長過程」などについて紹介。スタバ横では巣の材料になっている「小枝」を手にもってもらう。また、スタバのテラス席上2階の手すり壁で 白居はとをとはとよ の交尾を目撃したことや、 白居はとを は、道路向かいのみやこめっせの屋根上によくとまって様々なものを見渡していることなども共有した。
観察会でお話した「求愛時の番(つがい)が口移しで与えあっている(=求愛給餌と言うらしい)もの」について、開催後に補足情報が寄せられたのでここで共有する。番が口移しで与えあっているのは、ピジョンミルクではなく「素嚢(そのう)に一度入れた食べ物」なのだそう。鳥や昆虫には、人間にはない「素嚢」という器官が食道と胃の間にあり、食べた物を消化する前に一時的に貯蔵するのだそうだ。土鳩たちの求愛行為のひとつ、求愛給餌では、素嚢からおえっと出して交換しているとのこと。
歩きまわった後は、一度解散し、15分ほどそれぞれフリースタイルに観察し記録する時間を設けた。
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白居はとを・はとよ が揃って現れ、場が湧く。
観察したあとはこの場に集まった人たちと、先ほど見た事やそこから考えた事などについて順番に紹介してもらった。以下、参加者から共有してもらったことの一部をご紹介します。
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撮影:べに
上)左手前:白居はとを(オス) 右奥:白居はとよ(メス)
下)白居はとよ(メス)
京都編ではおなじみの白居カップル
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撮影:べに
京都編のリサーチ協力もいただいていた べにさん の写真は、毛の質感や柄、首元の光り具合などの詳細な様子が見えるので、ぜひじっくり観察いただきたい。
https://youtube.com/shorts/BcPGM4nV-WQ
撮影:福井菜月
鳩の求愛ダンス
ダンスのような動きをしているのがオス、追いかけられているのがメスです。ちなみに鳩の求愛ダンスは個体によって少しずつ異なります。鳴き声にもご注目を。
https://youtu.be/jQaDTh49Jpc
撮影:竹宮華美
ごま柄をしているので『ごま』さんと名付けられた鳩。両足とも怪我をしている。他の鳩と見分けが付く鳩として、この日に命名された。
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撮影:今村達紀
左の写真)鳩の糞があることから推察し、ここも居場所のひとつではないかという場所
右の写真)二条橋の下に鳩が憩う場所を発見
今回の観察会では、みんなで同じものを見ているようでも、個々人の知識や着眼点、みたものに対しての考察の異なりに改めて気がつくことができ、どの観察者の話も非常に興味深かった。たったの15分の観察タイムだったが、とても豊かな15分だったように感じられた。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!
観察会が終わったあとも、時間の許す人たちはその場に留まり、様々な意見交換がなされた。この京都編は、舞台芸術祭の枠組みで開催されていることや私がダンスを専門に活動しているものだということもあって、とりわけ、「ダンスなどのパフォーミングアーツ」と「鳩観察」の双方を往還する方法についての話が盛り上がって話されていたように思う。この興味深さを他者に共有するにはどのような方法があるのだろう。これについては引き続き考えていきたいと思う。
今回の京都編では、鳩を観察することから、いつもとは異なる新たな視点で、この場の地域性、建築物やその構造、同じ空間を活用する生き物たち(人を含む)のそれぞれの距離間とそこから見えてくる関係性の考察などなど、様々な事に思いを巡らせることができた。
また、応援してくださった方々、ご協力いただいた皆様、そして、ここまでお読みいただいた皆様に感謝します。ありがとうございました。鳩たちは今日もロームシアター京都におりますので、ぜひ独自に観察いただければ幸いです。
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