藍本から小野までサイクリング
猛暑が少し和らいだ9月19日、北東の風が吹くという予報に期待して藍本から小野までサイクリングを楽しんだ。距離やスピードへのこだわりはないので、道草をして大川瀬ダムや住吉神社に立ち寄った。住吉神社の本殿は国の重要文化財に指定されている。鎌倉時代の建築様式をとどめていてなかなか立派な建物だった。
疫病に効く良い酒が湧いて出たという言い伝えのある酒滴(さかたれ)神社でミンミンゼミが鳴いていた。西日本の市街地はクマゼミに占拠されてミンミンゼミの声を聞かなくなって久しい。アブラゼミやツクツクボウシ、ヒグラシは西宮でも鳴いているが「ミンミーン」は甲山でもめったに聞かれない。山奥に追いやられたのだろう。時期外れに藍本の神社で命をつないでいるのを見てミンミンゼミに平家の落人のイメージが重なった。将来、希少種にならなければいいが。
虚空蔵山(頂上から兵庫陶芸美術館へ下りる道がある)への登り口にヒガンバナが咲いていた。先日、子ども科学電話相談で植物の田中修先生がこんなことを言っていた。今年の京都の猛暑日と熱帯夜は60-60で新記録を打ち立てた。大谷の50-50よりもすごい。ヒガンバナがどうなるか心配したが地中から芽が出てきたのでほっとしたと。日照時間だけで咲く時期が決まるのかどうか知らないが、僕も今年最初のヒガンバナを見て少し元気が出た。
東条川の流域は、吉川(よかわ)とともに高品質の「山田錦」ができることで知られる。「山田錦」の田んぼが一面に広がっていて「豊かな農村」を思わせる風景が続く。自民党の農業政策によって米作りをやめてしまった農家が多い中で、酒米は採算がとれているのだろう。 東条川沿いの道に全国の銘酒の旗が並べられているところがあった。加東市が「東条山田錦の里探訪ウォーク」を毎年やっていて、参加者に見てもらうためのものだったということが後でわかった。
東条川から離れて75号線(小野藍本線)をさらに進み、まもなく国宝の浄土寺が見えるというあたりに来て、歩道でカメラを持って並んでいる人たちを認めた。自転車を停めて「何かいますか」と聞いたらコウノトリがいるという。野生のコウノトリは見たことがない。道路から少し距離があるが、池の対岸に確かにそれらしきものがいる。超望遠レンズは持ってきていないが写真を撮った。運良く隣の池から飛んできたらしい2羽のコウノトリが舞い降りる姿を動画で撮ることができた。鷺よりも飛び方が優雅である。昔はコウノトリは鶴と混同されていたらしい。「最初の1羽がツーと飛んできて松の枝にポイと止まった。あとの1羽がルーと飛んできて……」という落語の「つる」を思わせる静かな着地だった。飛ぶのはコウノトリの方がタンチョウ(鶴)よりも上手で対馬海峡もひとっ飛びだそうだ。
コウノトリは大きな鳥ですが、体重が軽いので、フワリと飛び上がります。よく似たタンチョウはコウノトリの2倍の体重があるので、助走を10mくらいしてから飛び上がります。タンチョウは飛んでいる最中も羽ばたきを盛んにするのですが、コウノトリは羽ばたきはしますが、その後はグライダーのように羽を動かさずに飛びます。コウノトリの飛ぶスピードは約40~60km/hです。一般の道を自動車が走っているスピードで飛びます。最大1.3kmくらいの高さまで飛びあがり、200~300kmの距離を休憩なしで飛べるといわれています。200kmは、九州と朝鮮半島の間の対馬海峡を一飛びできる距離です。https://satokouen.jp/study_top/study_03
以前、「犬も歩けば棒に当たる」について書いたが、今回も積極的意味で「自転車に乗ればコウノトリに当たる」を体験することができた。
https://gyazo.com/d981235e030966f975891441c7a8b088
【ビデオ】初秋の藍本⇒小野サイクリング
https://www.dropbox.com/scl/fi/d7gfj3yf2vcpg4vdadg2p/.mp4?rlkey=qpglu4f1wqjmajad2v3tx0i6y&dl=0