スプリントレトロスペクティブ
目的
スプリントレトロスペクティブの目的は、品質と効果を高める方法を計画することである。
The purpose of the Sprint Retrospective is to plan ways to increase quality and effectiveness.
目的が明快明瞭明確なので、レトロスペクティブ自体がうまくいっているかどうかの基準はこれにしておけばよい:
スクラムチームとしての「計画」を立てられたか?
計画は、自分たちの仕事の「質(quality)」や「効果(effectiveness)」の向上に資するものになっているか?
(計画は、必ずしもスプリントバックログに入れる"改善項目"に限らない。PBIになるかもしれないし、もっと別の活動になるかもしれない)
検査
スクラムチームは、個人、相互作用、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリントがどのように進んだかを検査する。多くの場合、検査する要素は作業領域によって異なる。スクラムチームを迷わせた仮説があれば特定し、その真因を探求する。スクラムチームは、スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発生したか、そしてそれらの問題がどのように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。
The Scrum Team inspects how the last Sprint went with regards to individuals, interactions, processes, tools, and their Definition of Done. Inspected elements often vary with the domain of work. Assumptions that led them astray are identified and their origins explored. The Scrum Team discusses what went well during the Sprint, what problems it encountered, and how those problems were (or were not) solved.
ここも明快。
なにを検査するのか
チームの仕事の「質と効果」を高めるために検査することを推奨されている項目の代表例(具体的にはスクラムチームの取り組むドメインによって異なる):
個人 (individuals)
相互作用 (interactions)
プロセス (processes)
ツール (tools)
完成の定義 (Definition of Done)
「スクラムチームを迷わせた仮説があれば特定し、その真因を探求する(Assumptions that led them astray are identified and their origins explored.)」ここはちょっと抽象的で飲み込みづらいかも。
仮説(Assumptions)は、仮説検証の仮説(Hypothesis)よりもちょっと広く解釈して、スプリント開始時点で「想定していた状況」ぐらいに捕えておくのがええんではないだろうか ("a thing that is accepted as true or as certain to happen, without proof." 的な解釈)
「想定していた状況と現況が異なるのであれば、どうしてそうなったのかその原因を突き止める(検査だね)」と解釈しておくのが穏当そう。で、適応する(改善計画を立てる)。
「スプリントプランニングで見込んでいたような成果を得られなかった場合に、その原因と対策を話しあう」というのもこの枠に入るのか…「想定していたベロシティが出なかったので、もっとベロシティを上げられるように頑張りましょう」というのも理屈としてはありえるのか…厄介だな kakutani.icon
どんな議論をするのか
このスプリントで:
うまくいったこと (what went well during the Sprint)
遭遇した問題 (what problems it encountered)
問題はどのように解決されたか (または解決されなかったか)
KPTはフレームワークとしてうまく適合するんだけれど、改善計画の観点が欠落するとテンプレを埋めるだけになりがち。
「問題とその解決を共有する」というのはKPTの枠だけで考えると見落しがちかも("Keep"にあらわれることはある)。
適応
スクラムチームは、自分たちの効果を改善するために最も役立つ変更を特定する。最も影響の大きな改善は、できるだけ早く対処する。次のスプリントのスプリントバックログに追加することもできる。
The Scrum Team identifies the most helpful changes to improve its effectiveness. The most impactful improvements are addressed as soon as possible. They may even be added to the Sprint Backlog for the next Sprint.
スプリントレトロスペクティブでどんなものを作成するのかは具体的には示されていない。改善項目の内容によるだろうからそれはそう。「改善項目にまつわるタスクをおこなう」ことを「次のスプリントのスプリンバックログ」に入れるのは目的に照らせば順当といえる。
イベント実施の枠組み
スプリントレトロスペクティブをもってスプリントは終了する。スプリントが1か月の場合、スプリントレトロスペクティブは最大3時間である。スプリントの期間が短ければ、スプリントレトロスペクティブの時間も短くすることが多い。
The Sprint Retrospective concludes the Sprint. It is timeboxed to a maximum of three hours for a one-month Sprint. For shorter Sprints, the event is usually shorter.
スプリントレトロスペクティブが最後のスクラムイベントであることが明示されている
スプリントレビューよりも後に実施する、ということ
2週間スプリントなら最大90分
1週間スプリントなら最大45分
週次だと1時間にしているところも多いが、本体枠を45分、15分はレトロスペクティブそのものではないチーム交流の時間、という設計も悪くないとおもう