天地創造
天地創造
旧約聖書『創世記』の完全映画化。「最初は無だった…」から始まる全能の神ヤハウェによる天地創造。ある意味非常に数学の公理系のようだ。万物を一つずつ定義していく。7日目に休む神(安息日)。日本では考えられない。江戸時代は働きずくめだ。神はまずアダムを泥と灰から作り、そのアダムの肋骨からイブを作る。しかし女性がすべての人類の母であることは当たり前のことだ。最近はDNAですべての人類は10人の人間まで絞られたという。むしろ科学的には男性が女性から分化したことは周知の事実である。それをこう言いきってしまうのが宗教だ。アダムとイブの物語。邪悪の象徴「蛇」にそそのかされ、禁断の木の実を食べてしまう。そこで人は善悪を知る。蛇は一生地を這い塵を食う罰と女は産みの苦しみの罰を受ける。そしてエデンの園を追われて荒れ野に住む。時はたち、2人にカインとアベルの兄弟が生まれた。カインは農業を営み、アベルは羊飼いになった。アベルは神に「焼き尽くす捧げ物」を惜しみなく捧げたが、カインは加減した。神はアベルの捧げ物だけを受け入れた。カイン(リチャードハリス)は怒りをアベルに向けた。取り入らないアベルをカインは殺してしまう。歴史上最初の殺人である。神は砂漠に追放したが、カインの子孫は世界に溢れ、世は不正と殺人を奨励する世界となった。神は「すべてを滅ぼそう」と考えたが、良きものノア(ジョンヒューストン)の家族は残そうとし、啓示を表した。ノアは大洪水の神託を受け、箱船を作る。そこにはやはり神から啓示を受けたすべてのつがいの動物たちが現れた。突然起こる大洪水。雨は40日間降り続く。雨がやんで晴れた空に鳩を放つノア。オリーブの葉をくわえて戻る。そのことで地が戻った事を知ったノアはアララット山の山頂に到着する。時がたち、再び天に弓する不届き者が現れる。バベルの塔だ。それを罰するため、人々が意志を通わされないように言葉を乱す。最後はエイブラハム(ジョージCスコット)の物語。なお、このころの寿命は120年以上である。そうしないとイエスまで言い尽くせなくなってしまう。妻サラ(エヴァ・ガードナー)との間には子はいなかった。が、神から何度も「そなたの子はこの地をこの砂粒の数ほど埋め尽くす」との啓示を受けていた。そこに3人の旅人(ピーター・オトゥール)が現れる。瞬間、彼らは神の化身だと悟ったエイブラハムは地にひれ伏す。これからソドムとゴモラの街を滅ぼしに行くという。エイブラハムの身内ロトがいる街だ。旅人を出迎えたロトのところに街の者が「旅人を差し出せ」と迫る。旅人は彼らの目を見え無くさせてしまう。その好きに逃げ出すロトの家族。そのとき「何があっても振り返ってならない」街を後にした直後、恐ろしいほどの大爆発。しかし好奇心から振り返ったロトの妻は塩の柱となった。(これはまさしく原爆の記述である)サラは次女のハガルを夫に差し出す。身ごもったハガルはどんどん態度が硬化する。しかし、ついにサラにも子が授かった。イシュマルと名付ける。ある日、彼は「イシュマルを私に差し出せ」との啓示を受ける。あんまりだ、と嘆くエイブラハム。しかし神には逆らえない。誰にも何も告げぬまま、イシュマルと共に山に入る。山で「焼き尽くす捧げ物」の準備を進める父。イシュマルは不思議そうに「祭壇もある。聖水もある。しかし生け贄がありません。」エイブラハムは悲しみをたたえた目でイシュマルを見つめる。すべてを悟ったイシュマルは力を抜き父のなすがままにした。エイブラハムはナイフを抜き、イシュマルの心臓を一突きしようとした瞬間、神の声が。「もう良い。やめなさい。おまえが神の力をおそれる者とよくわかった。この地をそなたの子孫で埋め尽くし、祝福しよう」そしてどこからともなく現れた羊を生け贄とし、神に捧げたのだった。カナンの地をめざす彼らは、イシュマルはイスラエルであり、選ばれた者であること(選民思想)のはじまりである。そして3時間の映画は終わった。