バウムガルテン
アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルデン(1714〜1762)
ゴットフリート・ライプニッツとクリスティアン・ヴォルフの影響を受けた。
「美学」の創設
バウムガルテンは1735年に提出した論文『詩に関する若干の事柄についての哲学的省察』において、次のように「美学」を定義した。
可知的なもの(νοητα、noēta)、すなわち上位能力によって認識されるものは論理学の対象であり、可感的なもの(αισθητα、aisthēta)は感性の学(aesthetica)としての美学の対象である。
つまりバウムガルテンが提唱した「美学」とは、論理学が従来範疇としてこなかった下位認識能力を扱う学である。簡単にいえば、知性ではなく、感性を扱う学である。この定義に従えれば、バウムガルテンが提唱したのは「美学」ではなく「感性学」と言うべきである。しかし、1757年に発表した『形而上学』において、バウムガルテン自身がaestheticaの訳語に「美しいものの学(die Wissenschaft des Schönen)」を充てている。したがって「美学」という訳語は、美学の提唱時の意味は失われているものの、バウムガルテンの意図は汲まれているといえる。