自閉症
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a1/Asperger_Syndrome_hist.svg/350px-Asperger_Syndrome_hist.svg.png
歴史
1950~1960年代 アメリカでは親の愛情不足が原因と考えられていた。(主にブルーノ・ベッテルハイムによってこの説は強く主張された。) 1960年代後半 脳の生物学的異常であるという証拠が出てくる。
自閉的傾向のある子どもたちの発見
「孤立型」以外に、「受動型」「積極ー奇異型」の発見
https://gyazo.com/a549a58a3a10605c9089654e8d11f77b
1977年 双生児の研究
1980年代 高機能自閉症の発見
1980年 DSM-Ⅲ
これにより臨床レベルで自閉症が広く知られることになる。
1981年 ウィングによるアスペルガーの論文の英語圏への紹介 「アスペルガー症候群」
https://gyazo.com/48380fb81d407bdb1d3fffc29b308df0
1987年 DSM-Ⅲ‐R
1988年 レインマン
https://gyazo.com/65f4813f0d0e1d90842c6389ae4b887f
1990年代 高機能自閉症が少数派ではないことがわかる
1992年 ドナ・ウィリアムス 自閉症だった私へ
https://gyazo.com/9587c1c095d3ba74d7b000504d32b35e
1995年 オリバーサックス 火星の人類学者
https://gyazo.com/86c02532031a5a14ddb3977e82ce5364
2013年 DSM-5で自閉症スペクトラム障害という概念の採用
自閉という言葉について
統合失調症(旧分裂病)という言葉を生み出したユージン・ブロイラー という精神病理学者によって提唱される。もともとは自閉というのは統合失調症の一症状を表すものだった。そのため自閉症も幼児期に統合失調症が発症したものだと最初は思われていた。が、カナー症候群では統合失調症に特有の症状(幻覚・幻聴など)が見られないことにより、この2つは別のものだと後に考えられるようになる。
特性
対人相互反応の質的な障害
意思伝達の著しい異常またはその発達の障害
活動と興味の範囲の著しい限局性
また、専門家の間ではDSM-Ⅳの定義
社会性の障害
社会的コミュニケーションの障害
こだわり・反復的常同行動
の症状を指して三組の障害としてこの定義を採用してる人が多いようだ。
三組の障害の別のバリエーションもあって
社会性の障害
コミュニケーションの障害
想像力の障害
としてる人もいるみたい。
この三組の障害を定義したのはローナ・ウィングである。
自閉症は増えているのか
増えたんではない、定義が時代とともに変換してきたのである。
杉山登志郎先生の同一診断基準による定点観測によって1.2%→2%と疫学的に増加の傾向が見られる。
仮説
分類
アスペルガー症候群
カナー症候群(古典的自閉症)
高機能古典的自閉症
折れ線型自閉症
小児期崩壊性障害
DSMによる分類
DSM-Ⅲ
カナー症候群がDSMで採用される。
分類は以下の通り
幼児性自閉症
小児期発症型広範性発達障害
DSM-Ⅲ-R
自閉性障害(カナー症候群)とPDD-NOS(広汎性発達障害)に分類されるが、PDD-NOSがその名称の使いやすさから乱用されることになった。
DSM-Ⅳ
広汎性発達障害のサブカテゴリとされる
興味深いのはカナー症候群である小児自閉症が存在していること
自閉性障害のサブカテゴリは以下の通り
小児自閉症
非定型自閉症
レット症候群
アスペルガー症候群
その他の広汎性発達障害(PDD-NOS)
PDD-NOSが
DSM-5
以下のように分類される
自閉症スペクトラム障害
コミュニケーション障害
DSM-Ⅳにおける自閉性障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)に統合された模様 脳と自閉症
自らが自閉症であり、また自閉症の研究者であるテンプル・グランディン博士の解剖学的脳の治験は以下のようになっている。 小脳が健常者に比べて2割ほど小さい。
偏桃体の大きさが標準と比べて22%大きい。
脳が全体的に大きい。
嗅内野が標準と比べて左は12%、右は23%厚い。
なおこれらは直ちに一般的自閉症の人に適用されるわけでないことに注意されたい。
自閉症の脳の機能的所見は以下のようになっている。
顔に対しての皮質の活性化が極めて少ない。
右のTPJが、健常者では相手の凝視に対して活性化するのに対して、自閉症の被験者では目をそらした時に活性化する。 左の背外側前頭前野が、健常者はそらした視点に対して活性化するのに対して、自閉症の被験者では相手の凝視に対して活性化する。
自閉症の脳では脳の配線で大局的に接続不足が発生しているのに対して、局所的には接続過剰が見られる。
また、グランディン博士個人に関しては、HDFTによる調査により以下のことが分かっている。 視覚路が健常者に比べて4倍大きい。
聴覚系の聞き取りの接続が対象被験者に比べて1%程度しかなかった。
発話産出と視覚的表象に関わる領域の接続が大きく乱れている。
備考
自閉症は何でないか
自閉症は精神疾患ではない。
自閉症は親の育て方が悪いのではない。
自閉症は知恵遅れではない。
IQの高い高機能自閉症の存在が認められるようになった。また、IQが特段に高いギフテッドと呼ばれる子どもたちも自閉症的特性を持つことが知られている。 だがしかし重度の知的障害に自閉症を併発してる人が多い傾向があることも確か。
また、虐待児の4割がなんらかの発達障害を抱えているという調査結果もある。
アスペルガー症候群とカナー症候群に明確な境界線はない。
アスペルガー症候群はカナー症候群ー言語発達なのだけど、養育次第でカナー症候群がアスペルガー症候群に変わったりする。
自閉症は何か
社会的に自閉症はどのように捉えられているのか。
自閉症を定義するものは何か。
そのような疾患グループがあったとしてその原因は何か(氏か育ちか)。
健常者との境界線は何処か。
ほかの疾患と何が違うのか。
参考書籍