オセロAIの時代
一章 前夜
さてこの記事を書くにあたって、時代を遡ることにします。時系列で見てくることによって今のAIのすごさがより実感を持って理解できると思うからです。
私とAIとの出会いは2001年にまで遡ります。当時リバーシと呼ばれる、オンラインでオセロ対局ができるアプリがあったんですね。インターネットにアクセスすることをまだ知らない私はリバーシというアプリを夢中になって遊びました。
ところがある日、対戦相手が待てど待てど見つからないという事態が発生します。そのとき
私はどうしたか。
ヤフーOthelloというサービスでインターネットを通してオセロを打つようになりました。これが私とインターネットとの出会いでした。
話がそれました。AIの話をしてたのでした。
オセロとAIを結びつけて考えてみましょう。まずオセロと人間が対局するオセロAIがあります。
当時からオセロAIは強かったです。ロジステロと呼ばれるオセロAIがオセロの世界チャンピオンに勝ちました。
我々コンシューマーレベルでもオセロAIは浸透していました。WZebraと呼ばれるフリーソフトのオセロAIに自分の打った棋譜を読み込ませて、ここはこう打てばよかったとか、あそこはああ打てばよかったとか、といった検討をする人が多かったです。
一方で囲碁AIや将棋AIも当時からあったのですが、まだまだ人間には勝てないと思われていました。ではどうしてオセロにおいてAIが優位に立てたのでしょうか。
それは探索空間の狭さにあります。オセロは打てる手というのが2〜8手くらいなもので、AIは打てる手全てに対して総当りすることができました。それに対して囲碁は19×19の盤面に初手は好きなところに打てるので探索木が膨大で相対的にAIには不利なゲームとなっていました。
さてここまでオセロAIを見てきました。このようにオセロAIは私が関心を持った時点ですでに完成されたものとしてそこにありました。私もオセロAIと打ったことがありますが、圧倒的な強さを感じました。まず人間と比べて見落としがないこと。それから人間と違って勝手読みをしないこと。この2点からオセロAIに勝ち目はないな、と思いました。今でも当時私がAIに持っていた感想と同じような感想をAIに対して述べる人がいて、それは非常に興味深いことです。