ChatGPTの時代
項番6
変化は思わぬ所からやってくる。囲碁→分類タスク→生成AIと進化してきたAIは、今度はいきなり言葉を話し出すことになる。2022年11月に颯爽と登場して世を騒がせた生成AI、ChatGPTの誕生だ。
変化は思わぬ所からやってくる。と書いた。それもそうだ。今までAIといえばせいぜいが「人間が与えたタスクを淡々とこなす」程度の認識だった。しかしChatGPTはあたかも自我を持ってるかのように振舞った。
翻訳して、といえばDeepLより巧みに翻訳し、要約して、といえば華麗に要約して見せる。面白い例を出そう。「ぼくさんちゃいだからわからない」といえば、三歳児にもわかるような言葉遣いでやさしく説明してくれる。
LLMの基本的メカニズムはあくまで次単語予測モデルであり、大量の自然言語を学習した次単語予測モデルにすぎないはずだ。
それがあたかも自分で考えたかのように振舞う。それがなんとも画期的だった。
アルファ碁の37手目というのをご存じだろうか。膨大な人間の棋譜からは予想できないような手をAIが打ったのだ。いやいやそれでもアルファ碁は強化学習というものを行っているのだから、37手目も学習の範疇内かもしれない。ちょっと知識のある人ならばそういうだろう。でも、これから見せるデモを見たあとだったらどうだろうか。
次に見せるのは表情アプリの取り扱い説明書とサンプルです。これ使って自由に表情を作ってください。
もちろん!取り扱い説明書とサンプルを見せていただければ、そのアプリを使った表情の作り方を理解し、自由に表情を作ります。ファイルや詳細を送ってください!
# 基本の形式
emotion: happy # これは今は機能していませんが、将来の拡張用
eyes: # 目の設定
shape: normal # 選択肢: normal, closed, wide
size: 5 # 大きさ: 3-8 程度が適正
direction: center # 選択肢: center, left, right
mouth: # 口の設定
shape: smile # 選択肢: smile, frown, neutral
width: 20 # 幅: 10-30 程度が適正
isOpen: false # true/false - smileの時のみ効果あり
eyebrows: # 眉毛の設定
shape: normal # 選択肢: normal, angry, worried
angle: 0 # 角度: -10から10程度が適正
これだけでいけたりする?
はい!この形式で十分表情を作成できます。具体的にどのような表情を作りたいか教えてください。設定を考えたり、ユニークな組み合わせを提案することもできます!例えば、以下のような表情設定で作れます:
嬉しそうで目がぱっちりした表情
eyes:
shape: wide
size: 6
direction: center
mouth:
shape: smile
width: 25
isOpen: true
eyebrows:
shape: normal
angle: 5
疑い深い表情
eyes:
shape: normal
size: 5
direction: left
mouth:
shape: neutral
width: 15
isOpen: false
eyebrows:
shape: angry
angle: -5
どんな表情が欲しいかイメージを教えていただければ、細かく設定を調整します!
これによって生成された表情はこうだ。
https://gyazo.com/8e9e598fb9f6b718d61ff9e7caabe6d6
https://gyazo.com/938642acde53742cf3a7c69a28ed9372
驚くべきなのはこのアプリをClaudeで作ったにも関わらずChatGPTがこの説明を理解して表情を生成している所。
学習データにこの表情アプリが含まれることなんてあるわけないのに、だ。
これは君たちのこれまでの常識を覆す出来事だと個人的には思っている。いや、AIに少なからず関心がある人ならばそうなんじゃないかな。
これはおそ松さん分類タスクが典型だけど、AIは学習されたもの以上の出力はしないと思われていた。
たとえば次単語予測AIモデルは次単語の予測しかしない、といったように
これは研究者の間でも未だに未知のベールに包まれてる現象で、専門的にはAIの創発現象と呼ばれています。
人間の意識だってまったく同じで、還元論的に見れば電気信号に過ぎないシナプスがどうして集まると意識を持つようになるのか、これは長い間謎とされてきました。
創発とは、次単語予測のような単純な仕掛けから、思ってもみないようなことを出力してしまうことだ、と考えてもらっておけばよい。
実は創発はそれだけ取り上げてもいいくらい面白いトピックなのだが、
個人的に相転移や、創発と呼ばれる現象には懐疑的だった。だが、今目の前に覆しがたいエビデンスがある。このAIはファインチューニングで教えられる以上のタスクをこなしている。
たとえばフランシーヌプロンプト。