おそ松さんAI
2章 現代
さて時代を駆け足で走り抜けて一気に現代に行くことにします。それまでのAIの発展なら私よりもよほどうまい文章で記事にまとめてくれる人がいると思うからです。あとそれから実感を持って語るのはひどく難しいと感じるからです。
でも
当時を振り返り、一つだけ面白い例を紹介しておきましょう。今の変化を理解する補助線になると思うから。
おそ松さんというアニメはご存知ですか?そっくりな五つ子が出てきます。私はそのアニメを見てないのですが、AIに関して面白い例があるので取り上げます。
ここまで述べて話をおそ松さんに戻しますと、ある人がおそ松さんのキャラクター識別AIを作ったんですね。画像を見せたらこれは何松だっていう判断を行います。でもそのAIの学習には膨大なラベル付きデータが必要だった。すなわちAIが分類する前に人間が分類してあげる必要があったんですね。
アルファ碁がいくらすごくとも、当時のAIはその程度のものでした。
AI(≒機械学習)は学習したデータセット内でタスクをこなす、というのが当時としては当たり前の見方でした。
たとえばアルファ碁なら囲碁はべらぼうに強いけど、逆に言うと囲碁しか打てないというふうな形で、それが当たり前の世界でした
最初に述べた「で、結局今のAIは何がすごいの?」という疑問にまだ答えを出していませんでした。
機械学習というものがあります。人間が色々ロジックを考えるのではなくて代わりに大量のデータを学習させて帰納法的に答えを導こうと言った試みです。でも機械学習は膨大なパターンの認識と反復で、2022年の段階ではそれがAIの限界だと思われていました。すなわち、AIは教えられたことしかやらない、という風に思われていました。
↓余談的な話
アルファ碁が何が凄かったか。当時囲碁AI開発者の誰も考えなかったことをアルファ碁は成し遂げたんです。それは何かというと画像認識AIの手法の囲碁Aiへの応用でした。具体的に言うとディープラーニングと呼ばれる技術です。それが今の爆発的なAIの発展につながっていきます。
囲碁AIの難しさはその広大な探索空間にあることはすでに述べました。
アルファ碁が凄かったのは有力な手を2手から3手くらいに絞って探索を行うことでした。
簡単に言っちゃえばこういうことです。
囲碁の盤面を画像にみたて、人間の打った膨大な棋譜からどの手が有力か候補を絞ります。それから有力な手はとれか、と読みを入れます。これはそれまでの囲碁AIにはできない芸当でした。
よくAIの進化を目の誕生になぞらえる論調をよく見かけます。
これは生命の進化における種の爆発的な増大が目の誕生を伴って起きたからで、実際のAIの爆発的な発展を見るに、その例はあたってるように思います。