2021/7/25ツキノワグマの親子連れ
裸足で山梨百名山。
9座目は白州にある雨乞岳へ。
ここの入り口には、石尊神社がある。創建1398年とかなり古い神社。
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参道には巨大な松並木。それを過ぎるとかなり急勾配な石の階段がそそり立つ。
ちょっと荒れた雰囲気もあり、「登れるものなら、登ってみろ」と上の方から見られているような雰囲気。
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石段に吸い込まれるように、登りきる。そこはちょっと異世界な雰囲気だった。
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これから登る山行の安全を祈願し、ちょっと弱っている木が多かったので、
落ち葉と小枝を根っこの近くに置いて急な階段を下りる。ここでのお祭りが開かれる時はどんなだろう?また来てみたい場所の一つになった。
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さて、登山道へと取りつく方向へ足を進めてみると、案内板には「ツキノワグマ」への注意喚起の掲示も一緒にくっついていた。
しかも、町内放送でも注意情報が流れている。
南アルプス周辺は良く出ると聞いていたが、やけに登り始めから心配を駆り立てられる。
まずは、ヒノキの植林地帯に入る。ちょっと登ると、ルート脇にクマらしき糞がある。(もしかすると、駐車場近くの道路上にあった糞もそうだったのかも)
イノシシやシカとは違う野生臭。ご対面したらやだなぁ。。
そんな気持ちを抱えたまま、山頂を目指した。
薄暗い人工林を過ぎると、風通しが良い雑木林になり、クマへの想いがすっかり消えて高度を稼いだ。最後の急登を登り切り登頂。
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気温が高かったのと、水の携行量が少なくてややバテ。でも中々良いペースで行けたから、サクッと下りてお昼を楽しみにと考えていた。
何度かクリのイガがくっついて来たけど、次第に目が慣れるもので、イガを踏む回数も減っていく。
これは快調な下りだ。予定よりも早く下りられるかも!
そんな期待が、目の前に黒い塊が現れて一瞬で打ち砕かれた。
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人工林地帯に差し掛かり、谷をトラバースしながら反対側の斜面へいくルート。
それは谷底(といっても15−20mくらいの距離)の倒木の上を平均台を渡るような感じで遊んでいる。
威嚇して、こっちを振り向かせてはいけないけど、私の存在に気づいてそこから動いて。。
何度か拍手してみる。
そしたら、ルートがある方向へ登って行ってしまった。。マズイ。
ちょっと気を落ち着かせて考えてみた。
あのサイズはやけに小さいから、もしかすると近くに親グマがいるかも
よーくあたりをもう一回見てみると、木の裏にもう一頭大きい親グマがいたのだった。
「クマは臆病な動物です。鈴を鳴らしたり、音を出して人間がいることを。。」
何だか登る時に聞こえてた町内放送が走馬灯のように、脳内で再生される。
駐車場まではあと少し。だったらクマがいない方向に道は無いけど下りてみよう。
スマホの地形図アプリを見ながら考える。
でも道迷いのリスクがあるし、そっちにもクマがいるかもしれないから却下。
正面を向いたまま後退りし、お互いが見えない距離になってから、大きな声で歌を歌う。
「歩こう〜♪ 歩こう♪ 私は元気〜♪・・・・」
そして、歌いながら再度、前進してみた。ガサガサともバキっとも音はしなかったけど、そこには何もいない。
上に行ったのか、下に行ったのかもわからない。
出会ってしまったら、それはそれだな。
そう冷静に諦めて、歌いながら下山ルートを進んだ。
火事場の馬鹿力だったのか、それまでの疲労感は嘘のように消え、身体が動く。
先ほど子グマが登っていった場所を通り過ぎる。
「いない!」
スピード感を保ったまま、でも声を出し続けて走って下山。
どのくらいのスピードかわからないが、何とか駐車場まで辿り着いた。
私が歌っている間にどこかに去って行ったクマの親子。
気配が全く無かった。
恐怖を感じる状況でも気配を消して移動していく野生動物。
自分の気配を全力で出していた私。
振り返って、冷静な行動をしたと思っているが、まだまだその域までは遠い。
下山したのは13時過ぎ。お昼の時間だったけど、全くお腹が空かず交感神経全開だったことに気付かされる。
それにしても、クマと出会った地点は標高900mくらいで随分と人里の近くだった。
クマとの共生。
奥山にすめなくなったクマ。山の環境が悪化しているのか、人間がそこかしこに入り過ぎで居場所が無くなってしまったのか。
また会うのは、できれば避けたいがクマについて色々と想いを巡らせた1日だった。