日本では法律を破ってはいけない
最初にポッドキャストを聞いたときに私が膝を叩いたのは「日本では法律を破ってはいけないのだ」という言葉でした。「そんなの当たり前じゃないか、法治国家はどこもそうだ」と思う方が多いと思います。しかし、そうではないのです。Timは以下のように指摘しています。
「米国では法を犯した個人は罰金や懲役刑をくらいますが、企業のコンプライアンスは違います。西洋社会には罰則金がコンプライアンスのための費用より低い場合には、法を破って良いどころか、むしろCEOは法を破るべきフィデューシャリー・デューティーを負うと考える人々がいるんです」(日本語訳は著者)
これは日本社会には、ちょっとない発想です。少なくとも、こうした発想でコンプライアンスを軽視すれば一斉に糾弾されることでしょう。罰金を払うほうが安いなら社長はコンプライアンスを無視しないといけない。そうしないと株主に対する責務を果たしたことにならない、というのは、あまりに遵法精神に欠けるように思えます。
キャッチーで、かつ、なるほどなあと思わされる。日本では法律を破ってはいけない。「決まりは守らないとダメ」というのは社会規範が強いと解釈できそう。「決められた通りに罰を受ければいい、お金を払って済むなら払います」というのは市場規範が強いと言えそう。 ところで、日本における労働基準法違反の罰金が安すぎて「これなら違法しまくって荒稼ぎして罰金を払ってもお釣りが出る」みたいな話もあるよなあ。