所得と労働時間
ちなみに、所得が上がることが分かっている場合にハードワークになりがちということは米国の統計データで示されています。
へ〜!
1979年に低所得層の22%が時間外で50時間超働いていたのに対して2006年には13%まで下落。逆に、高所得層で週50時間以上働く人の割合は15%から27%に上昇したそうです。
わかりやすく傾向が違いますね。
高所得者は時間単価が高いため、休むのことのコスト(機会損失)が高くなっていることが背景にあるのだそうです。米国ではヨーロッパと違って所得税が引き下げられたため、頑張れば所得が増えるというインセンティブが、より強い。それで、(意識的、無意識に関わらず)休まない選択をする高所得者が多いということです。
「この休んでいる時間を働く時間に変えたら◯◯円か」と考えてしまうということか〜。
夢中になれる趣味を持っている人の場合はどうか?
高所得者をさらに掘り下げるとどうか?超高所得者だと「これ以上の稼ぎはどうでもよくなる」みたいなことある?
この傾向と同様に、エクイティーと情熱を持って走るスタートアップの創業メンバーがハードワークをするのは自然なことだと思います。キャピタルゲイン課税は20%強に過ぎませんから、収入のアップサイドが大きいのです。また、短期間で成果を上げて実績や役職、収入、達成感を手にしたいと頑張る人がスタートアップ(だけではないですが)にいるというのも自然なことだと思います。
1つは、スタートアップの戦いが6〜10年というマラソン型の長期戦になっていること。このため、例えば週に100時間以上働くといった無茶なやり方では完走できなくなっています。ひと昔前に流行した、1、2年という短期で急成長させて売却を目指す、小規模メディアの立ち上げなどは短期決戦なので長時間労働との相性が良い一方、最近のSaaS企業はIPOを遅らせてでも成長を選ぶケースが増えて長期戦となってきています。
短距離走でバイアウト、ではなくなってきていると。なるほど。
もう1点、こちらのほうがより本質的で重要な指摘だと思うのですが、ひと昔前のベンチャーの場合、広告代理事業や不動産、制作会社など、労働集約型の「長時間労働をしたほうが成果が出る」ビジネスモデルが多く、長時間労働する社員が称賛されるカルチャーが醸成されがちだったことも宮田さんは指摘しています。
その結果、「ベンチャー=労働時間が長い」というイメージがついているのではないか、といいます。その一方で、昨今のスタートアップはテクノロジーの力でスケールする、労働集約型ではないビジネスモデルが増えています。長時間労働を強いるよりも、働きやすい環境にして採用にプラスにしたほうが得なので、労働時間が(相対的に)短いカルチャーが自然と醸成されているのか、ということです。
納得できる話でございました。