それをつくる人、それをつかう人
「ビデオゲームをつくる人」と「ビデオゲームであそぶ人」がごちゃごちゃに扱われることは、あまりないように見えている。ビデオゲームをつくる人は「ゲーム開発者」などと呼ばれ、あそぶ人は「ゲーム・プレイヤー」などと呼ばれる。「ゲーマー Gamer」は「ゲーム + 人」を意味するので関わり方が自明ではないが、日本語話者の間では「あそぶ人」を指すものとしてコンセンサスが取れていそうだ。
他方、ぼくにとって身近なウェブ方面の業界においては、けっこう曖昧な物言いが多く流通している。かくいう自分も人生のある時期までは「ウェブ・エンジニア」「ウェブ開発者」を自称していたはず。あるとき、Tim Berners-Lee が「Web Developer」という肩書きで登場したのを見てハッとなった。Tim Berners-Lee のような人のことを Web Developer と呼ぶのなら、自分は Web Developer ではないね。最近は「ウェブアプリケーション開発者」のような自己紹介をすることが多い。ウェブというプラットフォームの上で、アプリケーションを開発する立場。 https://gyazo.com/a2917b0ad2732542887d0a1c0c02dd26
https://youtu.be/Ug6XAw6hzaw?t=90
ぼくは「Prosumer」や「DevOps」といった越境ニュアンスのある概念が好きで、なにかをつくる人とつかう人との間に序列のような軸を持ち込みたいわけではない。それはそれとして、つくる人とつかう人は明確に違うのだから、対象としての区別はしっかりした方がよいと思っている。だって、YouTube 上の動画をたくさん見る人のことまで YouTuber と呼んでしまったら、会話をする上では不便だもの。 そんなわけで「ウェブ開発者」「Pythonエンジニア」「クラウド・エンジニア」的なフレーズが曖昧に使われるとき、少し注意を払って応対するようにしている。誤解の余地が小さくなるよう、実態に則した表現を使っていけるといいですね。