テクノ改善主義
メリオリズム (Meliorism) は改良主義や漸進的改善主義と言われます。merliorは「より良い」を意味するラテン語です。
メリオリズムは、ウィリアム・ジェームズやジョン・デューイなどのプラグマティズムの系譜の考え方であり、ユートピアのような完全な理想的な状態には到達できないかもしれないけれど、人々の意識的な努力によって徐々に改善はできる(より良くなりうる)、と信じる立場です。辞書では「世界は改善する傾向があり、人間はその改善を助けることができるという信念」とも整理されます。
一方、テクノメリオリズムは、「そういうものである」という考えではなく、世界を良くしていくという考えを持ったうえで、テクノロジーを使っていく、という意思を含意できるように思います。
丸山真男の言う、「である」のではなく、「する」ことに近いかもしれません。丸山真男は『「である」ことと「する」こと』(『日本の思想』に所収)で、日本の社会を民主主義「である」と見做して、放っておいても維持されるものであると捉えることに注意を促し、普段の民主化によってかろうじて民主主義でありうること、そして主体的に点検や吟味をして維持「する」ことの重要さを説いています。