なんでも無料で助かる〜と思っていた大学生
ぼくが Web 2.0 の熱気にあてられて鼻息が荒くなってときには鼻血も出していたころ、LAMP 構成ってのが流行っていた。これは Linux Apache MySQL Perl の頭文字をつなぎあわせたもので、こういうテクノロジ・スタックでウェブアプリケーションを開発するとけっこう無料で済みますよ、みたいなノリ。Perl の代わりに PHP でもいい。とにかく、オペレーティング・システムもウェブ・サーバも RDBMS もプログラミング言語も、なんだったらライブラリもフレームワークも無料で使えるグッドな選択肢がある。そういう時代が幕を開けたので文明開化だ、という勢いがあった。
ぼくはアルバイトで稼いだお金で学費を払っている大学生・大学院生だったので、だいぶ助かった。ウェブアプリケーションの開発をやりたかったら、とりあえずハードウェアとして MacBook がひとつあれば、その上で動かすソフトウェアはだいたい無料。Emacs も Firefox も無料で使っていた。
お金のない学生にもやさしい業界だな、チャンスがあってうれしいな、助かるな、と思っていた。
ひるがえって 2025 年の春、これを書いているのは 2025-06-04 で、お金を払ってバフをもりもりにするとソフトウェア開発が捗る状況になっている。今の大学生ってどんな気分なのだろう。一定以上の財力がないと戦えない業界になってしまうと夢がなくなって新しい人たちの参入が減るだろうから、そうなるのは困っちゃうな。
今は過渡期で、これが過ぎて波が落ち着いてきたら種々の Generative AI が今よりコモディティになって無料もしくは安価に活用できるようになるだろうか。そうなる方に投票していきたい。先人たちがつくってくれたチャンスの道を通って財を成した人が、その財によって参入障壁をつくる側にまわっていたら悲しいと思う。